9.般若が笑顔になった時 ページ10
『え、えっとぉ〜、お嬢さ…Aさんに居候させてもらっています、く、黒助デス』
「……へぇ〜…」
祖母はそんな返しをしたまま、黙り込んでしまった。
黒助も私もどうすればいいのか分からず、顔を見合わせて首を傾げた。
「アンタ」
『え！ あ、ハイ。』
唐突に発せられた声に体を震わせて反応する。黒助を見る祖母の蛇の様な眼光は未だ健在だ。
「……ちょっと手ェ出してみなさい」
『あ、ハイ。』
緊張からか、先程と全く同じ返事をしながら黒助は言われた通りに自身の手を祖母の方へ差し出した。
そしてその差し出された手に向けて祖母も自分の手を伸ばす。
私は何も出来ず、ただその状況を固唾を呑んで見つめていた。
そうして、祖母の手が黒助の手に触れたと思った瞬間、彼女の手は黒助をすり抜けた。
『「！」』
「……やっぱりねぇ…」
彼女はすり抜けた自分の手のひらを見つめながらそう一言呟いた。
彼、黒助も同じ様に驚いた顔をしながら自分の手を見つめていた。
「…何で、黒助君のこと見えるのに今すり抜けたんだろ……」
疑問を口に出さずにはいられなかった。
「その黒助？って奴には取り憑かれたA、アンタにしか触れないんだろうよ」
それを聞いて、意味も無く彼の真っ黒な体に手を当ててペチペチと触れてみる。
その触れた体は変わらず温度が無く、冷たく感じた。
彼もそんな事実が不思議なようで、私の頬を摘まんでゴムの様に伸ばそうとする。
みよーん、と千切れてしまうのでは無いのかと思う程引っ張られて反射的にその引っ張っている腕へと平手打ちをお見舞いした。
「A！ 早よご飯の準備済ませて食べるよ！ この後もあたしはやることがあるんだよ」
そう腕まくりをしながら元の位置へと戻った。
「えっ！？ 黒助君のことは良いの？」
「黒助はアンタに何もしそうに無いし、何よりあたしが何を言っても簡単には離れそうに無いしさ。
あと黒助に帰るところなんか無さそうだからね」
面倒臭そうにこちらへ振り返り、私と黒助を交互に見ながらそう言った。
『お……仰る通り帰る家は存在して無いし、オレ自分がどんな存在なのかすらも分かってない』
「……そうか、じゃあここに居ればいいじゃ無いか」
そう言い終わると同時に祖母は優しげな笑顔を浮かべた。
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ソルジャードリーム - 更新楽しみに待ってます！( ☆∀☆) (2015年5月9日 11時) (
レス) id: 5aa7608348 (このIDを非表示/違反報告)
なのん - 更新早くーーー！面白すぎ！！つづきがきになる(>∀<) (2015年2月8日 8時) (レス) id: 2357c02e3c (このIDを非表示/違反報告)
悠 - この小説良いですね！更新頑張って下さい！！応援してます！！ (2014年9月30日 21時) (レス) id: 266b54b8e8 (このIDを非表示/違反報告)
のほほん族(プロフ) - 私、この作品好きです。更新頑張って下さいね(^o^) (2014年9月27日 22時) (レス) id: c0269819b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆粒 | 作成日時：2014年9月16日 7時
