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6.黒助 ページ7

ザクザクと砂利道を歩く音が響く。






いつもならばこの道はひとりで静かに歩いている筈なのだ。






しかし、今日は違う。






『おじょーさんおじょーさん!

名前っ名前なんていうのさ!!』






…そう。






この妙な黒い影が憑いている。






先程から私の名前を知ろうと背後から大きな声で話しかけて来ている。






何故こんなにもハイテンションなのか少し不思議だ。







『お嬢さんってば!!』







ニュッといきなり私の目の前に影の体が伸びてきて、驚いて目を丸くした。






「ッあぁ、ごめんなさい。

少しボーッとしてた。 えと、私の名前は広瀬 A。 貴方は?」







『へぇっ、Aって言うんだ。 よろしく!

あとオレに名前は無いよ』







「へっ?」






名前が当然あるものだと思って自然に聞いたが、まさか無いとは。





自分の中に微妙な空気が流れる。







『ん? お嬢さん?』






「な、名前が無いの?」






『ウン。 そうだよ? どうしたのさ』







ケロリとした様子で差も当然の様に言う。






可哀想なんて気持ちじゃ無く、どうしようという気持ちの方が先を走った。






名前が無いのならこれから影のことをどう呼べば良いのだろう、と。






黙って固まっていると、流石に影も様子がおかしいと思ったのか顔を覗き込んで来る。







「……貴方のこと、どう呼べばいいの?」






『へっ?』






「……だって、名前無いんじゃどう呼べばいいかわからないよ」







『あぁ〜確かにねぇ〜』







ウーン、とわざとらしく考えるポーズをとりながら唸り声を上げる。







パッと私の顔を見てニマリと口角を上げる。






『お嬢さんの好きに呼んでいいよ』







「…? ……分かった」







『(さて、どんな名前をつけてくれるんだろ?

名前なんか初めてだ。)』







影はひとり高揚した面持ちで、考えているAを見つめる。





こんなに気持ちが高ぶったことなど今まで覚えが無い。









「……ッ! そうだっ! 黒助君!!」








『……くろすけ…?』








「そうっ! 昔犬飼いたくて、もし飼ったらつけようと思ってたんだ!」









『……い、いぬ…?』








……犬って。

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設定タグ:恋愛 , 人外 , 狂気   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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ソルジャードリーム - 更新楽しみに待ってます!( ☆∀☆) (2015年5月9日 11時) (レス) id: 5aa7608348 (このIDを非表示/違反報告)
なのん - 更新早くーーー!面白すぎ!!つづきがきになる(>∀<) (2015年2月8日 8時) (レス) id: 2357c02e3c (このIDを非表示/違反報告)
- この小説良いですね!更新頑張って下さい!!応援してます!! (2014年9月30日 21時) (レス) id: 266b54b8e8 (このIDを非表示/違反報告)
のほほん族(プロフ) - 私、この作品好きです。更新頑張って下さいね(^o^) (2014年9月27日 22時) (レス) id: c0269819b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豆粒 | 作成日時:2014年9月16日 7時

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