25.暗闇【黒助視点】 ページ26
一週間後。
お嬢さんがあの先輩とやらに見られてから結構時間が経っているがとくに変化は無い。
いつもと同じ生活をしている。ガッコウにも慣れて来た。
喋らずにいるのも。
そんなあれから一週間経った月曜日の夜。
お嬢さんはゴソゴソと今日持って行った鞄の中に何かを入れたり出したりしていた。
「よし、終わった」
にこりと笑ってこちらを振り返る。ドキリとある筈の無い中身が疼く。
やはり、自分でも感じる。
ここ最近おかしいと。 もしかしたら彼女にも感づかれているかもしれない。
ガッコウに行く時の事を思い出すとやはり空洞が出来たように感じる。
あの男と楽しげに話している彼女を見ている時は尚更だ。
「じゃあ私寝るね?
おやすみ」
ふぁ、と欠伸をしてパチンと電気を消す。そしてその体を布団に潜り込ませていく。
『…おやすみ、お嬢さん』
「う…ん…」
彼女は寝つきが良いらしい。声を掛けた時にはもう既に生返事だった。
そしてしばらくするとスースーと寝息を立て出す。
『(……さぁ、苦痛の時間だ。)』
夜、オレは彼女が寝てしまうとそう思う様になった。
彼女は電気を付けたまま寝れないらしい。
最初の方はオレが暗闇が怖いというと気を使って電気を付けたまま寝てくれたが、どうもその日は寝つきが悪く次の日は隈が酷かった。
だからもう電気は付けなくて良いと言った。彼女は渋っていたが人間というものは体が酷く弱い。
少し眠れなかっただけであれだけ体に不調を来たすのだから無理をするなと言った。我慢出来ると。
だが…やはり、暗闇は大嫌いだ。
闇に呑み込まれる気がしてきて正気を失いそうになる。
自分の真っ黒な体が周りの闇に溶けて、個々としての存在がなくなってしまうのではと。
……いっそ、正気を無くしてしまおうか。
お嬢さんを、Aを呑み込んでしまおうか。
彼女と共になれるのらこんな暗闇も怖くなくなるのではないのか。
自分にとっての陽だまりの様な彼女を呑み込んでしまえば闇になど負けないのでは無いだろうか。
彼女を自分の中に入れたなら。
そう思い出せば思い出すほど本当に体が大きくなってくる。
…闇に呼応するように。
そして少しするとその事に気が付いて必死に自分を抑える。
何を考えているのかと。
だからそんな時は無心で空で明かりを灯す星や月を窓から食い入るように見つめて過ごした。
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ソルジャードリーム - 更新楽しみに待ってます!( ☆∀☆) (2015年5月9日 11時) (レス) id: 5aa7608348 (このIDを非表示/違反報告)
なのん - 更新早くーーー!面白すぎ!!つづきがきになる(>∀<) (2015年2月8日 8時) (レス) id: 2357c02e3c (このIDを非表示/違反報告)
悠 - この小説良いですね!更新頑張って下さい!!応援してます!! (2014年9月30日 21時) (レス) id: 266b54b8e8 (このIDを非表示/違反報告)
のほほん族(プロフ) - 私、この作品好きです。更新頑張って下さいね(^o^) (2014年9月27日 22時) (レス) id: c0269819b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆粒 | 作成日時:2014年9月16日 7時