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22.無駄な焦りと不安 ページ23

「………」




どうしたものか。




完全に目を逸らすタイミングを逃してしまった。





今更急に逸らしても不自然極まりないでは無いか。





あちらから興味を無くしてくれないかとハラハラと内心焦る。






ジーッ…と何秒間固まって居ただろうか。冷や汗が流れる。






先輩は全く表情を動かすことも無く、未だ無表情で此方を見ている。






何故こんなに見られなければいけないのだ。 自分が何か粗相をしてしまったとでもいうのか。





だが、思い当たる節もなく、更に首を捻るだけ。





距離は近くない。間に車二台ほどは余裕で入るのでは無いだろうか。




そんなに近くで見られているわけでも無いのに何処か見透かされている様な気がして居心地が悪い。





彼はいつまで経っても目を離そうとしない。





「(うぅ……)」





それに耐えかねた私はバッ! と会釈をして図書室を後にしようとそそくさと早足でロッカーへ向かう。





自分の鞄を取り出して借りたばかりの本を入れ、扉に手をかける。






「(…流石に、もう見てないよね)」





用心深く恐る恐る肩越しに後ろを振り返る。





振り返ったそこには先程と変わらず無表情でこちらを見つめる鴇田先輩の姿があった。





「(みっ、見てる…!!)」





半ばパニックになり、急いで扉を開けて小走りで廊下を進んだ。




しばらく進んだ所で減速して一瞬図書室を振り返る。






「今の…何だったんだろ…?」





歩きながら呟いて、そんな疑問を払拭するかの様にブンブン首を振った。





「(まぁ多分私の後ろの何かを見てたんだよね!
うん、そういうことにしとこう)」





ひとり考えてそんな結論に至り、頷いて納得する。





私の後ろの何か。何を見ていたのかは知らないけれど…





「(ちょっと待った。)」





足を止め、視線を斜め後ろに向かってゆっくりと移動させる。





「(私の後ろの何か。
…まさか……見えてたんじゃあ…?!)」




黒助を見ながらそんなことを思い付くと途端にブルリと寒気がした。





「(…ッまさか!
そんなこと無いよね)」





額に滲んできた冷や汗を手の甲で乱暴にぬぐうとフッと鼻で笑って踵を返すが、その無理に作った笑顔は引きつっている。





無い無い、無い無い…と頭の中でその単語を連呼しながらも焦っていつもより速いペースで歩いていることには気付かない。

23.境界線→←21.本を借りよう



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設定タグ:恋愛 , 人外 , 狂気   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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ソルジャードリーム - 更新楽しみに待ってます!( ☆∀☆) (2015年5月9日 11時) (レス) id: 5aa7608348 (このIDを非表示/違反報告)
なのん - 更新早くーーー!面白すぎ!!つづきがきになる(>∀<) (2015年2月8日 8時) (レス) id: 2357c02e3c (このIDを非表示/違反報告)
- この小説良いですね!更新頑張って下さい!!応援してます!! (2014年9月30日 21時) (レス) id: 266b54b8e8 (このIDを非表示/違反報告)
のほほん族(プロフ) - 私、この作品好きです。更新頑張って下さいね(^o^) (2014年9月27日 22時) (レス) id: c0269819b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豆粒 | 作成日時:2014年9月16日 7時

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