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#14 ページ14

side_Taiga




ぼんやりとした意識の中、目が覚めた。


カーテンの隙間から差し込む光がいつもより

眩しい。


時計を見れば、もうお昼の1時だ。


目覚まし時計に起こされず、こんな時間まで

寝ていたのは初めてのこと。


寝返りを打つと触れ合ってしまいそうな距離に

樹の顔があった。


ひとつの布団に2人でよく寝れたなと改めて思う。


俺は樹を起こさないよう、そっと布団から出た

つもりが、微かな音で樹は起きてしまった。


「…はよ」


「おはよう」


すごい寝癖にめちゃくちゃ眠そうな顔。


初めて見る寝起きなのに、樹っぽいななんて

思ってしまう。


「…今何時?」


「1時」


そう言うと樹は「まだそんな時間か…」なんて

ボヤきながらも、のそのそと布団から出て、

寝癖はそのまま着替え始めた。


「…あ、大我、そこら辺にある服洗ってある

やつだから、好きなの着て」


そう言われ、俺は適当に黒いスウェットと

黒いパンツを借りた。


樹も同じような格好で、まるで双子コーデのように

なってしまった。


「…どっか行くの?」


「うん」


樹は鍵を手に取り、サンダルを履いて家を出た。


俺も後に続き、家を出ると樹は駐輪場にある

バイクのメットインから少しキツいピンクの

ヘルメットを取り出し俺に渡す。


「被って」


そして樹はハンドルにかけてある黒いヘルメットを

被り、バイクにまたがる。


「後ろ乗って、ちゃんと掴まってて」


樹に言われた通り、バイクにまたがり、

樹の腰に手を回してギュッと抱きしめた。


すると樹は音を立ててバイクを走らせる。


風が気持ちよくて、でも少し怖くて…初めての

バイクに俺の胸は妙に高鳴っていた。


行先も告げられぬまま、気がつけば町外れの

海沿いの道を走っていた。


誰も住んでいないような民家が並び、

廃れた商店街が目に入ると、樹は道を外れ

その建物の隙間を縫って路地裏へと入る。


そして、少し大きめの建物の前でバイクを停めた。


その建物の正面にはなにやら看板がついているが、

辛うじて読める文字は"DANCE HALL"のみ。


「…なにここ」


「俺の秘密基地」


樹はそう言うとズケズケと建物の中に入った。




.

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Ab - Chewing gumすごく面白かったです! 一番好きな部分は樹がいなくなったあとのきょもほくの部分です! 終わり方は本編の方が好きだけど、おまけのもとても悲しいというか…切ない気持ちになりました!読み終わってしまったので、続編期待です(*´∇`) (2020年6月4日 22時) (レス) id: e4fda0cb3d (このIDを非表示/違反報告)
りー、(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すごく引き込まれて、最後号泣しました、、また読ませていただきます! (2020年4月27日 0時) (レス) id: 58a48f28a2 (このIDを非表示/違反報告)
E2pcw68JoClAW94(プロフ) - 最後に素晴らしい作品と出会えてとても嬉しく思っています!!新作も読ませていただきます! (2020年4月2日 9時) (レス) id: 73e14c48e0 (このIDを非表示/違反報告)
E2pcw68JoClAW94(プロフ) - 完結おめでとうございます!どちらの終わり方もきょもと樹らしい終わり方だなと思います!44の最後の細身の男性は誰だったのか気になります。慎太郎なのかなと思う気持ちと細身だから違うのかという気持ちがあり、気になってしまい質問させていただきました! (2020年4月2日 9時) (レス) id: 73e14c48e0 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 完結おめでとうございます。そして素敵な作品をありがとうございました。きょも樹が大好きでこの作品は特に引き込まれました。ぜひまた機会があればきょも樹の作品を作って欲しいです。これからも頑張ってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: d7589ab1a0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さいか | 作成日時:2019年9月15日 16時

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