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side_Taiga
唇に触れる柔らかな感触、すぐ目の前にある
ピンクの髪、明らかに異常事態なのに俺の体は
ピタリと動くことを諦めてしまっていた。
そして、その男は唇を離して俺に触れていた唇を
ペロッと舐めて満足気に笑う。
「甘いね」
そう言うと俺の腕を引っ張り、ブロック塀に
押さえつけた。
「…舌出してよ」
「……え？」
「ベロ出してって。ほら、早く」
「…や、やです」
「は？嫌とかそんなんないから」
「やめてください…！」
俺は自分が持つ全ての力を込めてその男の体を
突き飛ばした。
油断していたのか、その男はよろけ体勢を崩した。
しかし、その後のことを考えていなかったせいで
俺は逃げることもできず、再び、しかもさっきより
強い力で押さえつけられてしまった。
「そんなことしちゃダメでしょ」
「…ご、ごめんなさい。でも、離してください」
「なに？俺じゃ不満？」
「そんなんじゃ…」
その時、ふと近くで人の気配がした。
それは目の前の男も同じだったようで
同時にその方へ目をやる。
「…なんだ、てめぇ」
そこに立っていたのは、また別の男だった。
艶やかな黒髪のその男は俺と同様、制服を着て、
そして顔の前でスマホを構えていた。
「…男が男を襲う…って、
ネットにあげたらおもしろそうですね」
「は？何言ってんの？」
わかりやすくキレたピンク髪の男は俺から離れ、
黒髪の男に掴みかかった。
俺がなにもできずにおどおどしていると
黒髪の男と目が合った。
そして、その人は首を小さく動かして
俺に何かを伝えた。
おそらく、「逃げろ」ということなんだと思う。
戸惑いながらも俺は2人に背を向け、
全速力でその場から逃げ出した。
最低だと思いつつ、でも俺は逃げることしか
できなかった。
背後から聞こえてくるピンク髪の男の怒鳴り声に
耳を塞ぎ、遅刻確定した予備校へと走った。
見慣れた大通りへと出て、そこからもしばらく
走りながらやっとの思いでたどり着く。
ちょうど最初の講義が終わり、生真面目な生徒が
前方に集まり、先生に群がっているところだった。
俺はその横を何食わぬ顔で通り過ぎ、
いつもの席に着く。
リュックから参考書を出しながら、俺は黒髪の人を
置いて逃げてしまったことを後悔した。
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Ab - Chewing gumすごく面白かったです！ 一番好きな部分は樹がいなくなったあとのきょもほくの部分です！ 終わり方は本編の方が好きだけど、おまけのもとても悲しいというか…切ない気持ちになりました！読み終わってしまったので、続編期待です(*´∇｀) (2020年6月4日 22時) (
レス) id: e4fda0cb3d (このIDを非表示/違反報告)
りー、(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すごく引き込まれて、最後号泣しました、、また読ませていただきます！ (2020年4月27日 0時) (レス) id: 58a48f28a2 (このIDを非表示/違反報告)
E2pcw68JoClAW94(プロフ) - 最後に素晴らしい作品と出会えてとても嬉しく思っています！！新作も読ませていただきます！ (2020年4月2日 9時) (レス) id: 73e14c48e0 (このIDを非表示/違反報告)
E2pcw68JoClAW94(プロフ) - 完結おめでとうございます！どちらの終わり方もきょもと樹らしい終わり方だなと思います！44の最後の細身の男性は誰だったのか気になります。慎太郎なのかなと思う気持ちと細身だから違うのかという気持ちがあり、気になってしまい質問させていただきました！ (2020年4月2日 9時) (レス) id: 73e14c48e0 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 完結おめでとうございます。そして素敵な作品をありがとうございました。きょも樹が大好きでこの作品は特に引き込まれました。ぜひまた機会があればきょも樹の作品を作って欲しいです。これからも頑張ってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: d7589ab1a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2019年9月15日 16時
