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05.戯れ言 ページ5

「……つまり、ボクの嘘は意味がなかったってこと」
『そうなるかな。まぁ、君の嘘だけであの男が私を助けたのが嘘であると確信したわけではないけど』

私は扉の前にある食事を取りに立ち上がる。…少しふらついた。長く海に流されていたからか、寝ていたからか、少し筋肉が衰えてしまったようだ。

『ヒソカは私にこう言っただろう、"沈んでいた"と。けれどあの男は私にこう言った。"溺れもがいていた"と』

お盆を持つ。…少しでも気を抜いたら手を離してしまいそうだ。

『その時点で食い違っていたから男が言っているのは嘘だと思った』

再びヒソカの前に座りお盆を置く。…ふぅ。腕を伸ばし、一休みする。

「…ボクが嘘付いてるとは思わなかったのかい」
『賢いね。けど、思わなかったよ。今の私には大人かつ男性を信じる気は全く無いんでね』

…どうして?、とでも思ってそうなヒソカ。しかし口には出さない。私がもう答えないことをなんとなく察したんだろう。

『でも……あ…。だとすると、もしかしてヒソカが私を助けてくれたの?』
「……
いや、ボクじゃない」
『そう』

深皿に触れると既にぬるかった。少し冷めてしまったな。

『ヒソカ、お腹はすいてる?』
「……」
『そんなに警戒しない。もう無闇に暴いたりしないから』

毛を逆立てる猫の様な態度に思わず苦笑い。…そうだよな。ヒソカとはまだ会って数十分。すこし踏み込みすぎたか。

段々と仲良くなろうと思っていたのに……ま、今からでも問題はないか。

『はい』
「…なに、これ」
『パンだよ、知らない?』
「知ってるよ。どうしてボクに渡すのかってこと」
『私、お腹すいてないからさ』
「………」

また疑うような目を向けられる。…あらら…警戒されてしまったな。

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キヨラ - これからもがんばってください。 (2018年10月23日 18時) (レス) id: 6e365f857a (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - 花菜さん» そう言って頂けると嬉しいです!続編まで行きました!引き続きお楽しみ下さい。 (2018年3月27日 18時) (レス) id: 14e35c6c6f (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - sataroさん» 励みのお言葉ありがとうございます!続編まで行ったのでお楽しみ頂ければ幸いです。 (2018年3月27日 18時) (レス) id: 14e35c6c6f (このIDを非表示/違反報告)
花菜(プロフ) - すごく面白くてとても続きが気になります!!更新がんばってください!(*´∀`*) (2018年3月21日 14時) (レス) id: b7876a4134 (このIDを非表示/違反報告)
sataro - 凄く読みやすく面白いので続きがまだかまだかと気になります笑更新応援しています! (2018年3月15日 16時) (レス) id: 4a264aed23 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年1月7日 2時

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