04.嘘言 ページ4
『ねぇ、ヒソカ』
「…なに」
『私を助けたの、あの男じゃないでしょう』
「え」
『違う?』
問うとヒソカは黙った。それから私に目線を合わせて言う。
「残念だけど違うよ。お姉さんを助けたのはあの男で間違いない」
ヒソカは真っ直ぐと私を見る。まるでそれが"真実"とでも言うように。
『嘘』
「…嘘じゃないよ」
『いーや、嘘だね』
「っ嘘だって言っ…!!」
言ってから、はっとなるヒソカ。やってしまった、とでも思ってそうな顔だ。
『ヒソカの負けだね』
「…今のはつられただけだ」
『違うよ。君の本心だ』
「っどうして解る」
『ヒソカはあの男が嫌いだろう。それも大が付くほど。だから助長するようなことは嘘でもしたくない』
「……はは、すごいねお姉さん。エスパー?」
『君を見てたら分かっただけ』
私はヒソカに近づき鉄格子の隙間から手を伸ばす。…意地でも張っているのか逃げないヒソカの頭を撫でる。
ヒソカの目が見開く。
『逃げないで』
「!…」
ヒソカが下がろうとしたのを声で止める。…それからゆっくりと撫でる。
『………』
…撫でているのは私なのに、なんだか…落ち着いた。
ヒソカの頭から頬に滑り親指で彼の目下を撫でる。
『嘘を付くとき大抵人は目線を反らす。目と言うのは感情を伝える機関でもあることを、人は本能で知っているから。だから隠そうとする…。
けれど君は、それの逆。嘘を付いているのがバレないようにあえて目線を反らさない』
ヒソカの頬は少し紫色になっていた。殴られた場所だ。…痕が残らないと良いけど。
『目線を反らさなければ確かに嘘とは思われにくい、むしろ真実だと思われるだろう。けど、反らさないことに気を張りすぎて他がおろそかになる。例えば…不自然に拳を握っているとか』
ヒソカの手に触れる。かさついていた。
『唾を飲むとか、汗をかくとか…ね』
そこまで言ってヒソカから離れ、手を牢屋の中に引っ込める。
それを見て、ヒソカも開きっぱなしだった口を閉じた。
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キヨラ - これからもがんばってください。 (2018年10月23日 18時) (レス) id: 6e365f857a (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - 花菜さん» そう言って頂けると嬉しいです!続編まで行きました!引き続きお楽しみ下さい。 (2018年3月27日 18時) (レス) id: 14e35c6c6f (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - sataroさん» 励みのお言葉ありがとうございます!続編まで行ったのでお楽しみ頂ければ幸いです。 (2018年3月27日 18時) (レス) id: 14e35c6c6f (このIDを非表示/違反報告)
花菜(プロフ) - すごく面白くてとても続きが気になります!!更新がんばってください!(*´∀`*) (2018年3月21日 14時) (レス) id: b7876a4134 (このIDを非表示/違反報告)
sataro - 凄く読みやすく面白いので続きがまだかまだかと気になります笑更新応援しています! (2018年3月15日 16時) (レス) id: 4a264aed23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年1月7日 2時