22.毒される ページ22
…彼女はこんなにも表情が豊かだっただろうか。
…口調はいつも通りだし、ボクが今まで見過ごしていたのか?
確かに、こんなにもしっかりと彼女を意識して見たのは初めてかもしれない…。
「………」
…
そう、か。
ボクは彼女のことを特別と見ながらもあくまで商品として見ていた。
それが、さっきの彼女の言葉で根底から崩れた。…彼女を商品として見れなくなったんだ。
そうだと分かってしまえばもう不安ではなかった。
…ボクは彼女を好いてしまったんだ。
もしかしたら…甲板で見つけたときから既に好きだったのかもしれない。
それなのに、気づかない振りをし、嘘をつき…だから今こんなにも混乱した。
『私が優しくするのはね』
「いい」
『え?』
「答えなくていいよ。答えたところでキミの本心じゃないだろう?」
『良くわかったね…てバレバレだったか…。私が君に優しくしたと仮定して考えても、どうにも浮かばなくてね』
困ったように彼女は笑った。…そうだ、彼女はただ"普通に"ボクに接していただけだ。
普通に接されるなんて久しぶり過ぎて忘れていた。
『…ふふ』
「…なに」
彼女の不適な笑いに体が強ばる。今の会話の中に笑うことがあったか?
『いーや…ただ、ますますキミを連れ出したくなったよ』
_私と一緒に逃げないかい?ヒソカ_
…また、その瞳に思い出す。…彼女の瞳はどうしてこうにもボクを惹き付けるんだろうか。
一緒に逃げる……別にボクに拒む要素はない。
_一緒に逃げてくれるのなら君の生活は私が保証する_
それはつまり。もう今のように命からがら生きなくて良いということ。
_ただまぁ、贅沢な暮らしという訳にはいかないだろうけど…ここよりかは良い筈だ_
…確かに、ボクには贅沢な暮らしなんていらない。
_私と一緒に逃げないかい?ヒソカ_
……………。
ボクに拒む要素は何一つないのに…なのに、ボクは頷くことができない。
理由は分からない。
例えるなら…そう、急に大金をくれると言われたみたいだ。それも、その大金をボクは渇望している。加えて、大金を貰ったことによるデメリットもなにもない。…こんな旨い話に乗らない訳はないのに。
……
連れ出したしたいなら連れ出せば良いのに。
彼女の選択はボクには残酷だ。
だってボクは、自ら地獄を選んでしまうような人間だから。
彼女のような…綺麗なものはボクには毒にしかならないんだ。
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キヨラ - これからもがんばってください。 (2018年10月23日 18時) (レス) id: 6e365f857a (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - 花菜さん» そう言って頂けると嬉しいです!続編まで行きました!引き続きお楽しみ下さい。 (2018年3月27日 18時) (レス) id: 14e35c6c6f (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - sataroさん» 励みのお言葉ありがとうございます!続編まで行ったのでお楽しみ頂ければ幸いです。 (2018年3月27日 18時) (レス) id: 14e35c6c6f (このIDを非表示/違反報告)
花菜(プロフ) - すごく面白くてとても続きが気になります!!更新がんばってください!(*´∀`*) (2018年3月21日 14時) (レス) id: b7876a4134 (このIDを非表示/違反報告)
sataro - 凄く読みやすく面白いので続きがまだかまだかと気になります笑更新応援しています! (2018年3月15日 16時) (レス) id: 4a264aed23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年1月7日 2時