検索窓
今日:1 hit、昨日:99 hit、合計:453,592 hit

02.大人(男)=悪人 ページ2

「お、やっと起きたか」

…明らかに私の前で止まったな。そして明らかに私に話しかけていた。

見上げると良い大人の男性だった。
綺麗な黒いスーツに身を包み、脇にはボディーガードを携えている。歳は私よりも一回り以上うえ。

『………』
「そう警戒するな。俺は貴女と仲良くなりたいのさ」
『と言われましても、既に友好的な接し方ではないですよね』
「逃げられたら困るからな」

逃げられたら困る……か。なんだか嫌な予感しかしない。

意識を飛ばす前、あんなことがあったために余計だ。今の私には"大人(男)=悪人"という認識の方程式が成り立っている。

『それで………一応助けていただいたんですかね』
「ああ、溺れもがいていた貴女を助けたのは紛れもなく俺だ」

男が言った時、視界の端に移る少年の顔に影がかかった。

『それは、ありがとうございます』
「礼はいい、俺としても助かったからな」
『助かった?』
「ああ」

そこで男はにやりとする。嫌な予感の正体が分かった。

「丁度商品が足りなかったからな」
『…………………………………はぁ』

…なんというか…やっぱりというか。

「…まるで理解していたような顔だな」
『ええ…まぁ…悪いことは続くもんだなぁと』

一難去ってまた一難とはこの事か。

むしろ、今までが幸福過ぎたのかもしれないな。…そうだとしたら、これから暫く私に幸せは訪れないことになる。……どんまい、私。

「…ま、理解しているなら話が早い。貴女はこれから商品として出品される。逃げ出そうなんて考えないように。言っておくがここは船の上。また海に戻りたくなければ大人しくすることだ」
『船の上?どうりで起きてから違和感がすると…』
「…それと今日の分の食事だ」

男性が後ろのボディーガードに指示を出す。すると牢屋の鍵を開け、持っていたものを置き、直ぐに閉めた。そして鍵をかけられた。

置いたのはお盆。お盆の上には皿に盛られたパンと、深皿に入ったスープが見える。普通に美味しそうだ。

『食事はしっかり頂けるんですね』
「貴女は特別だからな」

特別……。特別ね。
品質を保つためにも最低限の食事はさせる…ということか。といっても私に食事は不要だが。

03.典型的→←01.赤髪の君



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (419 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
659人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

キヨラ - これからもがんばってください。 (2018年10月23日 18時) (レス) id: 6e365f857a (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - 花菜さん» そう言って頂けると嬉しいです!続編まで行きました!引き続きお楽しみ下さい。 (2018年3月27日 18時) (レス) id: 14e35c6c6f (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - sataroさん» 励みのお言葉ありがとうございます!続編まで行ったのでお楽しみ頂ければ幸いです。 (2018年3月27日 18時) (レス) id: 14e35c6c6f (このIDを非表示/違反報告)
花菜(プロフ) - すごく面白くてとても続きが気になります!!更新がんばってください!(*´∀`*) (2018年3月21日 14時) (レス) id: b7876a4134 (このIDを非表示/違反報告)
sataro - 凄く読みやすく面白いので続きがまだかまだかと気になります笑更新応援しています! (2018年3月15日 16時) (レス) id: 4a264aed23 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年1月7日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。