37.求めて ページ37
いや、逃げようと言ったのは紛れもない私だ。加えてヒソカが逃げるなら私も逃げると決めた。だからこそこうやってわざわざ捕まったいる訳だし…。
ヒソカが逃げようと言った。それは私の望んでいたことの筈なのに、なぜか面食らってしまった。
……そうか、あっさりしてるからだ。
今まで逃げようとする雰囲気を一切見せなかったヒソカが、ここに来て急にあっさりと変わったからだ。それも今朝は別人のようだったのに。
…私の知らないところで彼の心境の変化があったのか。
「…A、?」
私の反応に不安を覚えたのだろう。ヒソカが私の名前を呼んだ。
名前…名前…
……そういえばヒソカが私の名前を呼んだのは初めてだったな。
『ヒソカはどうして私と逃げたいんだい…?』
ふと、そう口にしてしまった。
……
いや…何を言ってるんだ私は。提案したのは私で、私がヒソカと逃げたいのに聞くのは可笑しいだろ。
咄嗟に違う言葉を出そうと口を開ける。
「ボクは」
声を出す前に開けたままで止める。ヒソカは私を見て言った。
「…ボクはAの事が好きみたいなんだ」
『…!』
ドクン、と心臓が鳴った。
「だから…Aの側にいたい」
ヒソカのどこか切なそうな顔は私の胸を締め付けるようだった。
………そうか。理解した。
あっさりしていたのは私だ。
いつの間にかこの会場の雰囲気に呑まれてしまっていたのは私だった。
ヒソカの方がよっぽど感情的だった。
理解すると、イライラしていた気持ちはすっと収まる。変わりに、私を好きだと言ったヒソカが愛しいという気持ちが沸き上がる。
ヒソカは、私が好きだから共に逃げると言った。男や、この仕事から逃れたい為ではなく。
…嬉しいのは仕方がない。
『ヒソカ』
_バン と銃声がした。ヒソカを囲っていた男の一人が耐えきれず発泡したものだった。
でもそんなのは見えていた。
そして私の腕の中には確かな温もりがある。
…私はヒソカを彼らに重ねてはいなかったが、ヒソカに彼らの空間を求めていた。
抱き締める、その感覚が私の心を満たしていた。
『そっか…そうだね。私もヒソカが好きだよ。さぁ、一緒に逃げようか』
私はヒソカにそっと呟いた。
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キヨラ - これからもがんばってください。 (2018年10月23日 18時) (レス) id: 6e365f857a (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - 花菜さん» そう言って頂けると嬉しいです!続編まで行きました!引き続きお楽しみ下さい。 (2018年3月27日 18時) (レス) id: 14e35c6c6f (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - sataroさん» 励みのお言葉ありがとうございます!続編まで行ったのでお楽しみ頂ければ幸いです。 (2018年3月27日 18時) (レス) id: 14e35c6c6f (このIDを非表示/違反報告)
花菜(プロフ) - すごく面白くてとても続きが気になります!!更新がんばってください!(*´∀`*) (2018年3月21日 14時) (レス) id: b7876a4134 (このIDを非表示/違反報告)
sataro - 凄く読みやすく面白いので続きがまだかまだかと気になります笑更新応援しています! (2018年3月15日 16時) (レス) id: 4a264aed23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年1月7日 2時