碧は染まった2【H×H】

93._馬子にも ページ44

幻影旅団といえどマフィアンコミュニティーによって厳重に保管されている金庫を開けるのは難しい。警備員を倒したところで金庫は開かないからな。

シャルナークがここにいる時点で当たったが、盗むならばオークション開始に先立って商品を運び出す今だろうと予想していた。そして、運んでいる職員を襲って奪うのは簡単だが奪った商品を運び出す時間を稼ぐには陽動がいい。

陽動には人の目を引き付けるようなことを起こす必要がある。

さて、彼らが仕掛けるならば今この瞬間。

地下の会場には黒服の人間が集合していた。どこかで見たことのあるような顔もある。大御所たちというのは間違いない。マフィアという性質上、ボス…または幹部自ら出向くことで威厳を示しているのだろう。マフィアンコミュニティー主催というのも拍車をかけている。

…シャルナークは会場にはいない。見えないだけかもしれないが、彼らはこの中に混ざってはいないらしい。

会場はざわついたまま競売の始まりを待っていた。ほどなくして、買人たちの目が奥のステージへと集められる。袖から二人の人物がステージ中央の講演台へと歩いていく………、て。

私は思わず笑みを溢す。近くにいた人が反応して私は口元を隠した。

二人は大柄な男と小柄な男。サングラスもしてないため随分とわかりやすい。していたとしても特徴的な二人だ。

〈皆様、ようこそお集まりいただきました〉

小柄な男が講演台のマイクで喋りだす。その丁寧な口調を聞きながらこれから起こることを予測する。

〈それでは堅苦しいあいさつはぬきにして〉

…ああ、これは。

〈くたばるといいね〉

その言葉を合図に大柄な男、フランクリンが両手を広げる。彼はオーラを纏っていて広げた手の指先は全て綺麗に切ったように外れていた。

私は全員の能力を全て知っている訳ではない。知る必要はないと思っているし、彼らも教える必要はないと思っているから。だから知っていてもほんの一部しか知らないし、フランクリンに関しては未知だ。

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