碧は染まった2【H×H】

85._想像に苦しい ページ35

「……師匠、という言葉を使ったが師匠は私にとって親…いや姉のようなものだ。生活の仕方から基礎知識、歴史や数学、哲学…戦闘についても教わったがそれ以外を学んだことの方が多い」

…Aには感謝しきれない。学校に通っていない分それらを教えてくれるAは"先生"であり、強さを与えてくれるAは"師匠"だった。…１人であるオレに安らぎを与えてくれたのもA。歳がそこまで離れていないせいか、それとも見た目が似ているからか買い物に出れば姉弟に見られることもあった。……それが心地よかった。

「つまり、ただの師弟関係ではないから念を教えなくても不思議じゃないってことか」
「そうだ」

Aがオレに念を教える責任はない、理由も。…それにどこまでも師匠に頼るようでは強くはなれない。…もしかしたらそういうことを意味していたのかもしれないな。

「…ま、精孔が開いてた理由は分かった。お前の"前"師匠か…。念が使えるってことはハンターだろ。なんて奴なんだ？」
「………確かに師匠はハンターだが、どうして教えなければならない」
「おいおい名前くらいいいだろ。もしかしたら知り合いって可能性もあるだろ。オレの顔はそこそこ広い」
「ふ、それは無いな」
「おい！なんで笑った！」

師匠の知り合いならば師匠が放っておく訳がない。それに、イズナビと師匠が並んでいる姿は想像に苦しい。

…次に会ったとき、オレが念を使えるようになっていることにどんな反応をするだろうか。…驚く？いやそんな簡単な反応はしない。

オレは少しでもAに近づけているだろうか。

「……」

……今はそんなことを考えている暇はないな。次に生きて会える保証もないのだから。

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