碧は染まった2【H×H】

55._残念 ページ5

「それを言いに来たのかい？」
『いや、それも言いに来たけど本題は違う。実は明日から私も天空闘技場に参加することになって…』

そこまで言って一度言葉を切る。…ヒソカの雰囲気が変わった。

「へぇ…どうしてまた、Aはこういうものに興味がないだろう？」
『全くという訳ではないけど…確かに、見るのはまだしもやるのはね。…でもキルアに提案という名のお願いをされてしまってね。暫く予定もなくて暇だったから断る理由もない。それで一応ヒソカにも伝えておこうかと思って』

ヒソカは200階クラスなので当たることはないが、その内気づくよりも先に説明してしまった方がいい。

「…妬けるねぇ」

ヒソカは独特のオーラを漂わせてこちらに歩いてくる。

「つくづくキミは子供に甘い」
『、…………そう言われても…断る選択肢を選べないんだ』

もはやそういう性なのだ。どうしようもない。拗ねたように顔を背ければヒソカに戻される。

『それに、キルアたちが闘技場を出るまでの間だけ。彼らが去った時点で降りるよ』
「それは残念…Aと久しぶりに戦りあいたかったのに」
『え？……うーん』

200階クラスは同じクラスの選手と自由に戦う日程を組むことが出来る。私が200階にあがればヒソカと戦うことができる。……でもなぁ。闘技場では勝敗をつけなければならない。正直ヒソカと勝敗をつける気にはならないし、遊びにしても…観客の見ているなかではたして楽しめるのか。

『…とりあえず200階にあがれてから考えるよ。戦闘準備期間というのがあるんでしょう？誰も戦う相手が居なかったらヒソカに頼もうかな』

先送りにすることにした。今はそれよりも明日勝つことだけを考えよう。…大口叩いてキルアやヒソカの前で負けるなんて恥ずかしいにも程がある。

明日戦う相手がヒソカのような手練れである可能性もあるのだ。…初戦は大事。

「誰も戦う相手がいなかったら…ね。うん。分かったよ」
『なるべく早く頑張る』
「ボクはいつでも待ってるよ…A」

ヒソカの答えに安心する。それからなんとなくヒソカの頭に手を伸ばせば撫でやすいように下げてくれる。…やはり湿っている。

56._三日月→←54._湿り気

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す