257._ ページ14
それに念ではなく"実力"を見せるということならもっと簡単なことがある。…ようはツェズゲラが私を異様だと感じ、驚けばいいのだ。
『正直、私には二人のように見映えの良いものはないので少し地味にはなりますが…』
私は袖をまくり、それからポケットからナイフを取り出す。
「！」
それから袖を捲った左手に刺した。そしてすぐに引き抜く。血が少しだけ床に垂れた。手の甲をハンカチで拭う。その綺麗な手の甲をツェズゲラに見せるように掲げる。
『私には回復能力があります。それも一瞬で傷が治るような超回復です。…どうでしょうか』
尋ねるものの反応がない。…ツェズゲラは唖然として、口を震わせた。
「なんでそんなもの見せたんだ！」
突然の大声に眉を寄せる。…ツェズゲラは少し動揺していた。
『なんで…と言われましても』
動揺するのはこっちだった。…鎖を見せたところでなんてことはないだろうし…だからといって鎖をツェズゲラに刺すわけにもいかない。彼と戦ってねじ伏せるなんて言語道断だし…。
「……」
困ったような顔をする彼女に、ツェズゲラは動揺を隠せないでいた。
…あの二人といたことから、並大抵の者ではないことは分かっていた。それでも、全てが予想外だった。
まるで美しくあるように作られたような顔は戦う者の顔ではなかった。どこかの貴族のご令嬢と言われた方がしっくりくる。…それが、次の瞬間では躊躇いなく自分の手を刺した。そして、深々と差し込まれた筈の傷が…ない。
マジックを見ているようで、床に垂れた赤い血がそれを否定する。
強化系であれば傷を治せることに疑問はない。それでも、刺し傷が"瞬きもしていない一瞬"で治るなど…余程の実力者でなければ成せない芸当。切り札であっても可笑しくない能力…それなのに本人は平然としている。…まるで、これくらい大したことないというように。
……ぞく と背中を悪寒がかけていく。
傷が一瞬で治る…？それはつまり、彼女は死ぬ可能性が限りなく少ないということ。どの程度の傷まで治せるのかは分からないが…［G・I］という死の危険の伴うゲームにおいて、彼女はほぼ…最強だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 194人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すってん(プロフ) - 続きの意志を示してくださって本当に嬉しいです！H×Hの作品でこちらが最も大好きな私です。最高に面白い作品を本当にありがとうございます！書き直し版もどちらも楽しみです！しかし無理はなさらずに、ご自分のペースで続けていただけたらな、と思います！ (4月14日 2時) (
レス) @page40 id: ff20551d0e (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - たまごボーロさん» 続けるつもりではありますが、今のところネタ切れ+マンネリ化のため暫くはお休みする形にはなると思います…。なるべく早く続きが書けるように頑張りますね。 (4月12日 20時) (レス) id: c0cc0b1a31 (このIDを非表示/違反報告)
たまごボーロ(プロフ) - 碧は染まったも続けてくれますか？ (4月12日 19時) (レス) @page40 id: c5a7976f82 (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 作者です。前回の更新から約一年が経ちそうでした。新しい話の更新じゃなくてすみません。内容に関しては※お知らせをお読みください。 (4月12日 18時) (レス) id: c0cc0b1a31 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - JRPGさん» いえいえ、どういたしまして〜 (6月19日 1時) (レス) id: 2cdd8e90db (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：JRPG
| 作成日時：2022年12月6日 11時
