72.遺物 ページ30
…緋の眼はアンモナイトとか、シーラカンスだとか、そういう類いのものだと思っていた。クルタ族は遥か昔に生存していた一族で、緋の眼は歴史的遺物のようなもの。博物館で飾られるようなもの。その上でコレクターがいたり、高値で売買されているのだと思っていた。
それが、まさか。今も実際に生存しているなんて。
……まるで、人身売買のようなものじゃないか。
『…安心してください……と言っても無駄かもしれませんが…。私は、あなた達を襲う気は少しもありません』
この老人の反応。お互いの同意の上で眼を提供している訳ではないだろう。なら、無理やり盗られているのだ。
『…私を縛ってもらっても構いません。それとも今すぐ村を出た方がいいですか。…しかし、それだと私が村の位置を漏らす可能性がある。かえってよくない。なにかそちらが条件を出すなら、私は飲みます』
「…………」
『………………本当は首を切るのが一番なんでしょうが…私は生憎とそれが出来ないものでして』
「…く……っはっはっは！！」
思わず肩が跳ねた。
…え、？いきなり笑いだした老人に呆気にとられる。何で笑ってるんだ。……出来ないなんて笑わせるな…ということか、？
「そんなの当たり前に決まってるだろう。今日初めて来た村の為に死にたい奴なんぞ、いるわけがない」
『…………え…？』
「それにおぬしが悪い奴じゃないのは分かっておる」
分かってるならあの敵意は何だったんだ。……というか、私は冗談で言った訳ではないのに。
私の気は知らず、老人の空気はすっかり温かいものになっていた。
「なかなか面白い奴だ」
『…はぁ……そうですか』
「ああ。すっかり毒気を抜かれてしまったわ！」
やっぱり毒あったんじゃないですか。という言葉は仕舞い、私は苦笑いで応える。…毒気を抜かれたのはむしろ私の方だ。
…一応私に敵意がないことは分かってもらったらしい。………私から言えば、そんな簡単に信用していいのかと思う。この老人にとっても私は今日初めて会った他人だ。
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Justice RPG(プロフ) - ノアさん、ノアの方舟さん。コメントありがとうございます！実は私の中で主人公の名前が"ノア"なんですよね。なんだか偶然というか。続編に移行したので引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。 (2019年3月10日 13時) (
レス) id: 5b1d0d0f4c (このIDを非表示/違反報告)
ノアの方舟(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。いつもとても楽しくワクワクしながら読ませてもらっています！主人公とクロロ少年、団員達が邂逅する場面がいつ来るかと思うと想像が止まりません…どうぞ体調にお気をつけて書いてください。引き続き楽しみに更新待っています！ (2019年3月9日 23時) (レス) id: ae2e2210b7 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - コメント失礼します！クロロ少年をめっちゃ待ってました！！更新がすごく楽しみです。無理をしないで御自分のペースで、私の生きる理由がこの小説なので、更新頑張ってください(( (2019年3月9日 14時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - コメントを下さった皆さん本当にありがとうございます。ほんとに、嬉しいです。特に自分の意図してることが伝わってると思うと、ほんと感無量ですね。これからも宜しくお願いします。 (2019年3月9日 0時) (レス) id: 5b1d0d0f4c (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - 作者です。書いては消してを繰り返してのんびりしていたら物凄く時間が経ってました。時間が過ぎるのって早い。次の更新は多分直ぐにあがるかと…。 (2019年3月9日 0時) (レス) id: 5b1d0d0f4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Justice RPG
| 作成日時：2018年12月25日 18時
