肆拾八 ページ48
Aさんは壁に物凄い速さで突っ込むと、ぶつかるギリギリで高く飛び上がった。それは初めてAさんを見た時を思い出す高さだった。
高く飛んだAさんは空中で壁を蹴る。その勢いで体をひねり、何かを斬った。
「ぐ、ぅ…!!」
Aさんより先に何かが空中から落ちてくる。……腕だ。鬼の腕だった。
『これで二度目だ。いい加減学習したらどうかな』
綺麗に地面に着地したAさんの視線の先には帯刀している鬼が居た。鬼は先程Aさんが空中で刀を振った場所で浮いている。
「……ホントに浮いてる…」
それも上半身だけだった。下半身は闇に埋もれていた。
鬼は空中で斬られた方の腕を押さえている。
「…っ、これくらいすぐ治るわ!」
鬼が叫ぶと斬られた筈の腕が"生えてきた"。…なんでもありかよ。
『別にいい。また斬ればいいから』
「さっきのは"まぐれ"だ!この闇の中でオレより優れたやつはいない!!」
『…そうやって傲るからお前は上弦に入れないんだ』
Aさんの言葉で鬼の雰囲気が変わる。重たく冷たいものになった。
上弦……それが何のことかは分からない。だが、重要な言葉みたいだった。
鬼はAさんへ一直線に降りてくる。Aさんは静かに刀の柄に両手を添えた。
『…漆桶…黒いっ……………』
周囲が暗くなった。
聞き覚えのある音。上に目線をずらせば飛行機だった。
飛行機はオレたちの上空を飛んでいく。
前に視線を戻す。
『……と…り ?』
「!!」
_まずい。
鬼を捉えていたAさんの目は完全に空へと向き、驚きに見開かれていた。柄を握りしめていた手は緩んでいた。
……それはそうだ。Aさんからしてみれば飛行機なんて未知のもの。想像も出来ないようなものだ。
Aさんに隙が出来るのは当然だった。
「!Aさんっ!!」
オレは咄嗟に声を張り上げる。Aさんはオレの声に気づかない。ただ、驚き唖然としている。
鬼は目前だった。
「!逃げろ!!」
動かずにはいられなかった。
藤の花を握りしめてAさんへ一歩踏み出す。
『…!』
Aさんの目がこちらに向く。
それと、同時に血が舞った。
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ゆら - とても続きが気になる物語だったので、時間があるときに更新よろしくお願いします。頑張ってください! (2020年6月21日 12時) (レス) id: a43add877a (このIDを非表示/違反報告)
ユナナ(プロフ) - こんにちは!"浮世離れの今日"を見させていただきました!好きな漫画がコラボで出てきている…もう喜びを超えた嬉しさです笑 後の展開がとても気になります!技の名前も高クオリティで普通に鬼滅の刃にで出来そうです笑 また続きをお待ちしています笑 (2020年1月8日 11時) (レス) id: 0bea8b4a9d (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 作者です。更新しました。楽しみにしてくださっていた方遅くなりすみません…。沢山のコメントありがとうございます。全部読んでます。引き続きお楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年10月31日 9時) (レス) id: 0e0a111648 (このIDを非表示/違反報告)
綺咲裕翔 - めちゃくちゃ面白いです!!続きが気になるー!楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年10月27日 10時) (レス) id: 93b6603b06 (このIDを非表示/違反報告)
南無阿弥陀仏(プロフ) - 続き待ってます (2019年10月24日 14時) (レス) id: 1cf60bec73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年9月15日 21時