浮き世離れの今日【名探偵コナン×鬼滅の刃】

肆拾弐 ページ42

……その発想は無かった。向こうではこんな状況はないからだろう。人が多く、路地が多い場所は向こうにもある。だがそういう鬼が好みそうな場所には必ず鬼殺隊の目がある。だから鬼は、人が多い場所にはあまり現れない。むしろ、人の少ない田舎…辺境の地…山奥に多い。

「僕の言っていること…間違ってますか？」
『いえ…その通りです』

それが…最善。
私の目的は鬼を狩ること……しかし、鬼殺隊は民間を護るためにも存在している。人間を護るために。

『……すみません。ご協力感謝します。しかし、これだけは約束してください。もし少しでも危険だと感じたら直ぐに路地から離れ日の元へ走ってください』
「……わかりました」
「…うん」

…少年はともかく、男は本当に何も知らない筈だ。…ついでにいえばさっき会ったばかりの初対面。

どうしてこうも…私の言葉を信用する。

『……戦闘に入る前に一つ聞いてもいいですか』
「はい、？」
『どうして私の言葉を信用できるんですか。……何も知らない者からすれば、虚言や妄想の類いだと思われるものだと思うのですが』

気になったものは即座に消化するに限る。そう思い、私は男に尋ねる。

…男は特に驚かず笑みを浮かべる。

「僕も人を見ることは得意なんです」

それからゆっくりと笑みを戻した。

「貴女のように本質…とまでいきませんが、その言葉が嘘か本当かくらいは分かりますよ」

不思議にも嘘…ではないらしい。

『そう…ですか』

…少年の言うとおり、悪い人ではない。偽ってはいるが……お兄さんと同じだな。

『答えて頂きありがとうございます。……では、始めます』

私が言うと、少年はきつく藤の花を握った。

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