肆拾壱 ページ41
一瞬、理解に遅れた。けれど直ぐに脳が理解する。
「っ本当!?」
少年の影が希望へと変わる。
「ええ。旬ですから」
男は肯定し、笑みを浮かべる。
そんな偶然…あるのか。
旬………そういえばこちらの日付を確認していなかった。
…そうか、旬…藤の季節なのか。
それは嬉しい誤算だった。
『その藤の花…頂くことは可能ですか』
「本当はお店のものですから否定するところですが……そういう状況では無いようですね。構いません。店長には僕から言っておきます」
『!ありがとうございます』
私は頭を下げる。
男は驚いたような顔をした。
「!え、ええ…それじゃあ直ぐにとってきます」
『お願いします』
男は近くにあった透明なガラスの扉を押して建物の中へと入っていく。……そして直ぐに出てきた。その手には見慣れた花がある。少々小ぶりだが…本当に藤の花だ。
「これで大丈夫ですか?」
『はい。本当にありがとうございます』
「、いえ。これくらいなんてことないです。…それで、どうするんですか?」
この男は何も知らない筈だが……何となく理解はしているらしい。…それにしても、こちらの言葉に疑問を返さないのはどうしてか。
『藤の花を路地の出入り口に置いて鬼の退路を絶ちます。…そうすればもう逃げられない』
「分かりました。ではコナンくんはこちら側に、僕は反対へ行きますね」
『!』
「うん!わかった」
男は藤の花の束を半分に分け、片方を少年へと渡す。
『な…何をしてるんですか』
「さっき言ったでしょう。路地の出入り口に立てばいい、と」
『!それはそうですが…あれは仮に彼らを呼ばなくてはいけない、と仮定しただけで……藤の花は出入り口に置いておきます。貴方方はこちらで待っていて下さい』
「そうはいきませんよ」
……こちらこそ、そうはいかない。
藤の花はそこにあるだけで効果がある。今回の場合、人が持っている必要はない。ならわざわざ危険を犯す必要がどこにあるのか。
「その鬼…が何なのかは分かりませんが……鬼は藤の花で閉じ込められたとしても、人は別だ」
『……!』
「人が路地へ入るのは避けたいことなんでしょう?なら、出入り口には誰か立っていた方がいい。そうすれば誰も入ってこない」
1021人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆら - とても続きが気になる物語だったので、時間があるときに更新よろしくお願いします。頑張ってください! (2020年6月21日 12時) (レス) id: a43add877a (このIDを非表示/違反報告)
ユナナ(プロフ) - こんにちは!"浮世離れの今日"を見させていただきました!好きな漫画がコラボで出てきている…もう喜びを超えた嬉しさです笑 後の展開がとても気になります!技の名前も高クオリティで普通に鬼滅の刃にで出来そうです笑 また続きをお待ちしています笑 (2020年1月8日 11時) (レス) id: 0bea8b4a9d (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 作者です。更新しました。楽しみにしてくださっていた方遅くなりすみません…。沢山のコメントありがとうございます。全部読んでます。引き続きお楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年10月31日 9時) (レス) id: 0e0a111648 (このIDを非表示/違反報告)
綺咲裕翔 - めちゃくちゃ面白いです!!続きが気になるー!楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年10月27日 10時) (レス) id: 93b6603b06 (このIDを非表示/違反報告)
南無阿弥陀仏(プロフ) - 続き待ってます (2019年10月24日 14時) (レス) id: 1cf60bec73 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年9月15日 21時