検索窓
今日:50 hit、昨日:33 hit、合計:597,934 hit

参拾壱 ページ31

ここに来るのは二回目だ。
四角い箱のような場所。出入り口は一つだけ。窓も小さいものが一つ。

「…それで、つまり…あなたは"鬼殺隊"と呼ばれる組織の一員で"鬼"を追っていたらいつのまにかこっちに来ていた……と」
『はい』
「鬼は人間を食べ、並外れた身体能力を持ち、倒すにはあなたの持つ"日輪刀"で首を斬るか、日光に当てるしかない」
『はい』
「…デパートで鬼の気配を感じたあなたは、駆けつけたところ女性が捕らわれており、奪還したが、鬼には逃げられてしまった…」
『はい。女性の腕は重症だったので、その場に置いておく訳にもいきませんでしたから』

会うのは二度目だ。目の前の女性は相変わらず難しい顔をしている。私がついこないだのAAだと名乗った時はとても驚いていた。あのときは前髪を垂らしていたし、隊服だったからな。私だとは全く気づかなかったらしい。

「…じゃあ、また今日みたいなことが起こるってこと…?」
『可能性は高いです。というか、既に起こっているかと。この鬼は死体を残しません。ここ二日間で行方不明者は出ていませんか』

私が尋ねると女性は近くにいた者に何か伝え、その者は部屋を後にする。

「今確認してみるわ」
「それにしても……鬼ですか…」

デパートにも居た体格のいい男性は顎に手を当て難しい顔をする。…たしか目暮と言われていたか。

「未だに信じられませんな…鬼なんて昔話の中でしか聞いたことないものが本当にいるなんて…」
『…一応信じてもらうためにあの場で見せたのですが…』
「それは、そうなんですけどね」
「警部!」

ガチャ、と扉が開かれまた知らない男性が入ってくる。

「検査の結果、当てはまる血液は無いとのことです」
「そうか…」

血液?

「Aさんの服に付いていた血を調べてもらったんだ」
『へ、いつの間に』

と考えて、そういえばここに来る前に着替えさせられたことを思い出す。あれか。

「……本当に厄介なことになったわ」

彼女はまた顔をしかめる。…周囲の人たちも皆同じような顔をしていた。

しかし、それは私も同じことだ。

……何よりここには人が多すぎる。鬼にとっては餌の宝庫。…そして鬼殺隊は私一人。

あの鬼自体はそこまで強くない。私一人で十分だ。…けれど、今まで倒せていないのはなにより奴の血鬼術のせい。

奴の血鬼術はこことの相性が良すぎる。

参拾弐→←参拾



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (576 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1018人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆら - とても続きが気になる物語だったので、時間があるときに更新よろしくお願いします。頑張ってください! (2020年6月21日 12時) (レス) id: a43add877a (このIDを非表示/違反報告)
ユナナ(プロフ) - こんにちは!"浮世離れの今日"を見させていただきました!好きな漫画がコラボで出てきている…もう喜びを超えた嬉しさです笑 後の展開がとても気になります!技の名前も高クオリティで普通に鬼滅の刃にで出来そうです笑 また続きをお待ちしています笑 (2020年1月8日 11時) (レス) id: 0bea8b4a9d (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 作者です。更新しました。楽しみにしてくださっていた方遅くなりすみません…。沢山のコメントありがとうございます。全部読んでます。引き続きお楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年10月31日 9時) (レス) id: 0e0a111648 (このIDを非表示/違反報告)
綺咲裕翔 - めちゃくちゃ面白いです!!続きが気になるー!楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年10月27日 10時) (レス) id: 93b6603b06 (このIDを非表示/違反報告)
南無阿弥陀仏(プロフ) - 続き待ってます (2019年10月24日 14時) (レス) id: 1cf60bec73 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年9月15日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。