参拾壱 ページ31
ここに来るのは二回目だ。
四角い箱のような場所。出入り口は一つだけ。窓も小さいものが一つ。
「…それで、つまり…あなたは"鬼殺隊"と呼ばれる組織の一員で"鬼"を追っていたらいつのまにかこっちに来ていた……と」
『はい』
「鬼は人間を食べ、並外れた身体能力を持ち、倒すにはあなたの持つ"日輪刀"で首を斬るか、日光に当てるしかない」
『はい』
「…デパートで鬼の気配を感じたあなたは、駆けつけたところ女性が捕らわれており、奪還したが、鬼には逃げられてしまった…」
『はい。女性の腕は重症だったので、その場に置いておく訳にもいきませんでしたから』
会うのは二度目だ。目の前の女性は相変わらず難しい顔をしている。私がついこないだのAAだと名乗った時はとても驚いていた。あのときは前髪を垂らしていたし、隊服だったからな。私だとは全く気づかなかったらしい。
「…じゃあ、また今日みたいなことが起こるってこと…?」
『可能性は高いです。というか、既に起こっているかと。この鬼は死体を残しません。ここ二日間で行方不明者は出ていませんか』
私が尋ねると女性は近くにいた者に何か伝え、その者は部屋を後にする。
「今確認してみるわ」
「それにしても……鬼ですか…」
デパートにも居た体格のいい男性は顎に手を当て難しい顔をする。…たしか目暮と言われていたか。
「未だに信じられませんな…鬼なんて昔話の中でしか聞いたことないものが本当にいるなんて…」
『…一応信じてもらうためにあの場で見せたのですが…』
「それは、そうなんですけどね」
「警部!」
ガチャ、と扉が開かれまた知らない男性が入ってくる。
「検査の結果、当てはまる血液は無いとのことです」
「そうか…」
血液?
「Aさんの服に付いていた血を調べてもらったんだ」
『へ、いつの間に』
と考えて、そういえばここに来る前に着替えさせられたことを思い出す。あれか。
「……本当に厄介なことになったわ」
彼女はまた顔をしかめる。…周囲の人たちも皆同じような顔をしていた。
しかし、それは私も同じことだ。
……何よりここには人が多すぎる。鬼にとっては餌の宝庫。…そして鬼殺隊は私一人。
あの鬼自体はそこまで強くない。私一人で十分だ。…けれど、今まで倒せていないのはなにより奴の血鬼術のせい。
奴の血鬼術はこことの相性が良すぎる。
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ゆら - とても続きが気になる物語だったので、時間があるときに更新よろしくお願いします。頑張ってください! (2020年6月21日 12時) (レス) id: a43add877a (このIDを非表示/違反報告)
ユナナ(プロフ) - こんにちは!"浮世離れの今日"を見させていただきました!好きな漫画がコラボで出てきている…もう喜びを超えた嬉しさです笑 後の展開がとても気になります!技の名前も高クオリティで普通に鬼滅の刃にで出来そうです笑 また続きをお待ちしています笑 (2020年1月8日 11時) (レス) id: 0bea8b4a9d (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 作者です。更新しました。楽しみにしてくださっていた方遅くなりすみません…。沢山のコメントありがとうございます。全部読んでます。引き続きお楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年10月31日 9時) (レス) id: 0e0a111648 (このIDを非表示/違反報告)
綺咲裕翔 - めちゃくちゃ面白いです!!続きが気になるー!楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年10月27日 10時) (レス) id: 93b6603b06 (このIDを非表示/違反報告)
南無阿弥陀仏(プロフ) - 続き待ってます (2019年10月24日 14時) (レス) id: 1cf60bec73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年9月15日 21時