拾肆 ページ14
Aさんに手帳とペンを渡す。…それをまじまじと見つめてから恐る恐る書いていた。小声だが、こんなものまで…!、という声が聞こえた。
書かれた文字を見るが見たことはない。…後で調べてみよう。
『………』
「…Aさん?」
『いえ。…その、鬼を見つけたらとりあえず日の元に逃げてください。間違っても陰に逃げないように』
「……わかった」
陰に逃げたらどうなるか。それは聞かずとも分かった。静かな空気が流れる。
「………まだ、聞きたいこともありますが…今日のあたりはこれくらいにしましょうか」
それを壊すように明るい声色で言ったのは昴さん。…確かにもう寝る時間だった。
「3日食べていないということは、3日寝ていないのでしょう?」
『!…そ、そういえば』
「え」
3日寝てないのかこの人は。しかも自分でも気づいていなかったらしい。…本当に大丈夫なんだろうか。悪い人ではないにしても、彼女がどんな人なのかは欠片も掴めていない。
「しっかり睡眠はとらなければ…それこそ鬼が現れたときに倒れてしまいますよ」
『そう…ですね』
「あ、じゃあお風呂入ってきなよ!」
『!はい。?……お、ふろ………………今すぐ入ってきます』
「真っ直ぐ行って左ね!」
彼女が指を折って数えてから、何を考えたかは察しないでおこう。
スッと立ち上がったAさんはオレがいった通りに奥へと向かっていった。
リビングにはオレと昴さんの二人。
「…………全く、ボウヤは厄介ごとが好きらしいな」
先に口を開いたのは赤井さんだった。
「別にボクが望んでる訳じゃないんだけど…」
「彼女の名前は?」
「あ…そういえば言ってなかったんだっけ。彼女はAAさん。歳は21歳」
「!!………は、」
「っあはは、やっぱりそこが一番驚くよね」
警視庁で聞いたときも、オレを含めあの場にいた全員が固まった。明らかに体つきは中学生。よくて高校一年生。おまけに細い。
「彼女のいた時代は大正らしいんだけど…。確かに昔の人は今よりも身長は低かったけど、それでもAさんは華奢なほうなんだろうね」
「あれで21か…詐欺だな」
「…それはボクも思うよ」
加えて、今は何事にも驚き新鮮な反応をするAさん。余計に子供に見えた。
……て、ちょっと待って。
「………赤井さん」
「なんだ?」
「大正時代にシャワーってあったっけ」
「…………ないな」
それは…まずい。
そう思った3秒後。
彼女の悲鳴が工藤宅に木霊した。
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ゆら - とても続きが気になる物語だったので、時間があるときに更新よろしくお願いします。頑張ってください! (2020年6月21日 12時) (レス) id: a43add877a (このIDを非表示/違反報告)
ユナナ(プロフ) - こんにちは!"浮世離れの今日"を見させていただきました!好きな漫画がコラボで出てきている…もう喜びを超えた嬉しさです笑 後の展開がとても気になります!技の名前も高クオリティで普通に鬼滅の刃にで出来そうです笑 また続きをお待ちしています笑 (2020年1月8日 11時) (レス) id: 0bea8b4a9d (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 作者です。更新しました。楽しみにしてくださっていた方遅くなりすみません…。沢山のコメントありがとうございます。全部読んでます。引き続きお楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年10月31日 9時) (レス) id: 0e0a111648 (このIDを非表示/違反報告)
綺咲裕翔 - めちゃくちゃ面白いです!!続きが気になるー!楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年10月27日 10時) (レス) id: 93b6603b06 (このIDを非表示/違反報告)
南無阿弥陀仏(プロフ) - 続き待ってます (2019年10月24日 14時) (レス) id: 1cf60bec73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年9月15日 21時