浮き世離れの今日【名探偵コナン×鬼滅の刃】

陸 ページ6

あの場から逃げるのは容易かった。壁や戸は頑丈そうには見えたが、斬れない訳じゃない。

刀身を見ても傷はついていない。…良かった。まだ鬼を斬っていないのにこれがダメになっては本末転倒である。

「Aさん！…っはぁ、はぁ」
『……………』

振り替えれば少年。……どうしてここが分かったのだろう。何にせよ少年が居るということはさっきの奴らも居る。

「居ないよ！！ボク一人だから！」
『！…………』
「お姉さん悪い人じゃないんでしょう！その鬼…ていうのは分からないけど、でも嘘ついてないのは分かる！」

少年の額には汗が滲んでいた。…私があの場を去って大した時は経ってない。

『………君は』
「っボクは江戸川コナン！探偵さ！」
『探偵…探偵方か…随分と幼いな』
「ボク、ここに来るの早かったでしょう。Aさんがここに来るのは直ぐに分かったよ」
『ほう…何故にして？』

少年は息を整え、それから私を見る。少年にしては鋭い眼光だった。

「まずAさんのその格好は凄く目立つ。警視庁を出て何処へ向かったかは通行人に聞けば直ぐに分かった。…それと、Aさんはその"鬼"って奴を追ってる。ボクと会ったのも追っていた最中だった。けど、見失った…。なら、もう一度ここに来ると思ったんだ。でも、現場は警察が調査しているから身を隠しながら現場を眺められる場所は…このビルの屋上しかないと思ってね」
『………』

優れた観察力と行動力。考えるだけなら誰でも出来るが、短時間でその思考に至り行動に移したとなると別。結果、私の居場所も当てている。

探偵というのも、あながち嘘ではなさそうだ。

七→←伍

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