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肆拾伍 ページ45

いや…まて。やつの能力を考えると。

片方の鬼が自分達の背後にいる少年を見た。

『どこを見ている』

考えを中断する。それから少年を見た鬼の首を落とす。

「っ!!」

隣にいたもう片方は咄嗟に距離を取る。…先程まで意気揚々と喋っていたやつは首が取れ、地に伏せている。

Aの持つ刀から滴る血に息を飲んだ。

……自分達は愚闇さまと違って十二鬼月ではない。十二鬼月でないものが柱を倒したなんて聞いたことがない。

柱の振るった刀身は一切見えなかった。"いつ""どこに"来たのか分からなかった。やつもそうだ。驚き、声をあげぬまま崩れていった。

『これで一体一だ』

残された鬼の額から汗が流れる。…こういうところは元人間である名残なのだろう。

『…来ないならこちらから行く』
「っ!!くそがァア!!」

焦りと動揺にまみれた攻撃。

…影の呼吸

漆桶(しっつう) 黒一閃(こくいっせん)

「………!」

鬼は困惑した。
何が起こったのか、急に体が軽く、力が抜けた。

それはつっかえていたものが取れるような解放感だった。

『…一つ。お前の他…愚闇以外に鬼はこちらに何体いる』
「……こ、ちら……?」

声がして向けば柱の女が自分を見下ろしていた。女の目はこちらを蔑む訳でもなく憎む訳でもなく、ただ自分を見ていた。

『あぁこの世界だ。異なる世界…後世だ』

後世?…一体なんのことか分からなかった。

『そう。……ならいいんだ』

女は背を向ける。無防備に向けた。今ならいくら柱とはいえ隙をつける。

そう思い動こうとして動けなかった。

背中を追って視線をずらせば己の体が転がっていた。

そこで初めて、自分が斬られていたことに気づいた。

「………」

いつだ。いやあのときか。だが斬られた感覚なんて無かった。間合いに入った所を見ていない。

体が崩れていく中。視界が無くなった中。問いかける背中がいつかの誰かと重なり、いつまでも目の前で揺れていた。

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ゆら - とても続きが気になる物語だったので、時間があるときに更新よろしくお願いします。頑張ってください! (2020年6月21日 12時) (レス) id: a43add877a (このIDを非表示/違反報告)
ユナナ(プロフ) - こんにちは!"浮世離れの今日"を見させていただきました!好きな漫画がコラボで出てきている…もう喜びを超えた嬉しさです笑 後の展開がとても気になります!技の名前も高クオリティで普通に鬼滅の刃にで出来そうです笑 また続きをお待ちしています笑 (2020年1月8日 11時) (レス) id: 0bea8b4a9d (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 作者です。更新しました。楽しみにしてくださっていた方遅くなりすみません…。沢山のコメントありがとうございます。全部読んでます。引き続きお楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年10月31日 9時) (レス) id: 0e0a111648 (このIDを非表示/違反報告)
綺咲裕翔 - めちゃくちゃ面白いです!!続きが気になるー!楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年10月27日 10時) (レス) id: 93b6603b06 (このIDを非表示/違反報告)
南無阿弥陀仏(プロフ) - 続き待ってます (2019年10月24日 14時) (レス) id: 1cf60bec73 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年9月15日 21時

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