参拾九 ページ39
「ボクは願ってもないことだけど…」
『申し出は有り難いですが、丁重にお断りします』
「…そう言うと思った」
少年は呆れたように息をつく。その目線が私へ向くのは些か疑問だ。
「そうですか…。なら、こちらが無理に聞く訳にもいきませんね。気が変わったらいつでも言ってください」
……意外にも簡単に引き下がるな、と思った。まぁそもそも、この男は初対面なのだから当たり前ではあるが。
「うん。ありがとう安室さん」
『私も、勝手なことを言ってすまなかった』
少年に続き、頭を下げると二人は凄い勢いで私を見る。その表情は驚き。
『……なに』
「う、ううん……Aさんって何て言うか…」
『……私がなんだ』
「…いや……やっぱり何でもない！」
少年は首を振った後、笑顔で言う。誤魔化しているのは明白だが、突き詰める事柄でもない。
『そう。ならいい。それより早く行こう』
「あ、それなんだけど。蘭姉ちゃんならここの二階に」
少年が先へ行く足取りを私は追えなかった。
＿どうにも、私には1秒の余裕も無いらしい。恩人へ謝罪する時間さえ、ない。
「…Aさん？」
立ち止まる私に疑問を覚えたんだろう。安室さんが私に近寄り、顔を覗き込んでくる。
それを見て少年も駆け寄ってくる。
「…どうしたの」
『一時の方向。約二丈先。角』
「！…まさか」
『ああ。鬼だ』
答えると少年の顔が難しいものに変わる。唇を閉め、それから苦し気な顔をする。
「そんなっ……だってついさっき襲われたばかりなのに…！！」
『鬼にこちらの事情は関係ない。……むしろ奴は今怒っている』
正に、玩具を壊された子供の状態だ。
私を人質で脅して仕留めるはずが、あっさりやられた。あれは奴自身では無いとはいえ、模造品だ。壊されて、冷静に次の手を考えるような知性がこの鬼には無い。……まぁ、だからこそこの鬼は弱いのだけど。
『…奴は私の様子を伺っている。日中だからな。あそこからこちらまで移動することは不可能に近い。とりあえず少年はこのままここを動かないで』
「！Aさんはどうするの…」
『………こちらとしても、長引かせるよりは早めに仕留めた方がいい』
私は少年に背を向ける。
「…待ってください」
手首を掴まれた。それも少年ではない。
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ゆら - とても続きが気になる物語だったので、時間があるときに更新よろしくお願いします。頑張ってください！ (2020年6月21日 12時) (
レス) id: a43add877a (このIDを非表示/違反報告)
ユナナ(プロフ) - こんにちは！"浮世離れの今日"を見させていただきました！好きな漫画がコラボで出てきている…もう喜びを超えた嬉しさです笑 後の展開がとても気になります！技の名前も高クオリティで普通に鬼滅の刃にで出来そうです笑 また続きをお待ちしています笑 (2020年1月8日 11時) (レス) id: 0bea8b4a9d (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 作者です。更新しました。楽しみにしてくださっていた方遅くなりすみません…。沢山のコメントありがとうございます。全部読んでます。引き続きお楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年10月31日 9時) (レス) id: 0e0a111648 (このIDを非表示/違反報告)
綺咲裕翔 - めちゃくちゃ面白いです！！続きが気になるー！楽しみにしてます！頑張ってください！ (2019年10月27日 10時) (レス) id: 93b6603b06 (このIDを非表示/違反報告)
南無阿弥陀仏(プロフ) - 続き待ってます (2019年10月24日 14時) (レス) id: 1cf60bec73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Justice RPG
| 作成日時：2018年9月15日 21時
