浮き世離れの今日【名探偵コナン×鬼滅の刃】

参拾参 ページ33

『それに、捕らえたところでそもそも意味がない。捕らえた後、鬼をどうするんですか。解剖して調べるなら分かりますが…貴女の言っていることはきっとそうではない。鬼を生かすには人の血肉が必要です。……結局、犠牲者を作るだけだ』

しん、と静まり返った。

誰も口を開こうとしない。そうさせたのは私で、こうなると分かっていた……分かっていて言った。

ここにどれだけの凄い武器があるのかは分からない。…私の居た時代の百年後だ。想像も出来ないものがある。……けれど、結局鬼は日光か日輪刀でなければ倒せない。頭を潰しても、全身の骨を抜いても、殺せない。

『………』

……いや、まて。藤の毒があったか。

藤……そう言えば、こちらには藤の花はあるのか…？

そう、聞こうと思ったところで別のものに意識を取られる。

＿どたどた、と扉の向こう側から慌ただしい足音が近づいてきていた。

そして、ばん、と勢いよく扉が開かれる。

「大変です！！」
「どうした。今は取り調べ中だぞ」
「！す、すみませんっ！ですが」
「……！まさか鬼」

少年の言葉でまた空気に冷たいものが走る。……私も刀を握る力を強める。

「！っいえ、鬼ではないのですが…！！」

鬼ではない、その言葉にほっとしたのもつかの間。

ビュン、と何か黒い物体が部屋へと滑り込んでくる。

「きゃっ！」
「うお！！」

その黒い物体は私の前の机に鎮座した。

「…か、……カラス…？」
「シナ！ヤットミツケタ！」
「しゃ、」

＿喋った

合わせたのか、という位にその場に居た者の声が重なりあう。皆の顔は驚きに溢れていた。…先程までの神妙なものとは大違いだった。

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