弐 ページ2
何かぶつぶつと思考に耽る女性…というよりかは背的に少女に近い。真っ黒な髪は後ろで軽く結われ、前髪は長く目が半分隠れていた。肌は白く、目元はよく見えないため正直不気味だ。
『ん、少年…?』
前髪の奥から視線がこちらに向く。
「お姉さん、何やってるの?」
刀を振るっていたのだから警戒はするが、自分にはどうにもこの人が悪人のようには見えなかった。不気味ではあるけど。
『鬼退治だよ』
「お、鬼退治?」
『ああ…といっても今しがた逃げられてしまったんだけど』
落胆した息を吐く少女。
…鬼退治?鬼なんて居るわけがない。時代を遡ったってまずいないだろう。あくまで伝説上の話。
それなのに少女からはふざけた雰囲気は全く感じられない。まるで、本当に鬼退治をしているんだ、という雰囲気。
「…この刀…本物?」
『刀に偽物があるわけないだろ。君にはこれが木刀にでも見えるの?』
「う、ううん。…でも本物なんてすごいね!許可とらないといけないんだよね!」
『許可?そんなの誰に取るの』
その反応にこっちがあっけに取られてしまう。銃砲刀剣類所持等取締法という名称はともかく、銃刀法違反という言葉は今時誰だって知っているだろう。
…なにかが可笑しい。この時点で何かとてつもない違和感を感じていた。いや、正確には電灯の上に飛び乗った辺りから異常はあった。
少女は地に刺さったままの刀を抜き取り、慣れたように鞘に納めた。
「!今すぐ武器を捨てて投降しろ!!」
「!」
その言葉に周りを見れば武装した警察が取り囲んでいた。刀を振り回している奴がいる、とでも通報を受けたんだろう。
「周囲は完全に包囲した!!お前に逃げ場はない!」
『……………?』
隣を見上げればなんのことか分かっていないような顔。
『……仲間か?いやしかし、見たことがない……都会でもあんなのあったか?』
「……ねぇお姉さん」
『うん?』
「お姉さんってどこから来たの?」
『どこ?……えと、街かな。ここに来る前に多分寄った…結構前だけど』
「じゃあ、さ」
できることならオレの質問に笑ってくれるのを望んで。
「今何年?」
『何年?……あー、何年だろう。大正…三年くらい?』
「…………」
そう冗談めかして言う少女に、オレは笑うことが出来なかった。
1018人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆら - とても続きが気になる物語だったので、時間があるときに更新よろしくお願いします。頑張ってください! (2020年6月21日 12時) (レス) id: a43add877a (このIDを非表示/違反報告)
ユナナ(プロフ) - こんにちは!"浮世離れの今日"を見させていただきました!好きな漫画がコラボで出てきている…もう喜びを超えた嬉しさです笑 後の展開がとても気になります!技の名前も高クオリティで普通に鬼滅の刃にで出来そうです笑 また続きをお待ちしています笑 (2020年1月8日 11時) (レス) id: 0bea8b4a9d (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 作者です。更新しました。楽しみにしてくださっていた方遅くなりすみません…。沢山のコメントありがとうございます。全部読んでます。引き続きお楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年10月31日 9時) (レス) id: 0e0a111648 (このIDを非表示/違反報告)
綺咲裕翔 - めちゃくちゃ面白いです!!続きが気になるー!楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年10月27日 10時) (レス) id: 93b6603b06 (このIDを非表示/違反報告)
南無阿弥陀仏(プロフ) - 続き待ってます (2019年10月24日 14時) (レス) id: 1cf60bec73 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年9月15日 21時