37.思春期 ページ43
『…ありがとう。想ってくれて、忘れないでいてくれて……私にとってそれは何よりも生きる糧になる』
私は自分の価値は他人によって決められるものだと思っている。自分に価値があると思っていても、必要とされなければ存在している意味がない。
誰かに必要とされることで自分の価値を見いだし頑張るのであって、自分の為に…なんて、私には到底無理だった。
特に、一度自己を捨てた身としては、余計に苦しかった。
『………？』
暫く目を合わせていたがふとヒソカが反らす。手もほどかれた。
…うーん。照れてるのだろうか。確かにヒソカは成長している。…16歳、まだ思春期ではあるか。子供っぽく扱い過ぎてしまっただろうか。
『でも、連れ去ってきたのならイルミは追ってくるだろうなぁ』
"勝手にいなくならない"、とイルミには言っていた。…あくまでその言葉の前には自分の意思で、という言葉が付くのだけど…。そのため今回は私の不可抗力であるから約束は破ってはいない。だが、居なくなったことは事実であり、私がゾルディック家の仕事をしている以上、野放しにはされないだろう。
「予想はしてたけど、すっかりイルミもAに毒されてるみたいだね」
『毒って、そんなつもりはないんだけど………でもまぁ、好かれてる自覚はあるよ。イルミにもヒソカにも』
自分に向けられた好意に気づかないような鈍感ではない。私自身も好意を得ようとしているのだから、余計だ。
『それで、私を連れ去ってきたヒソカくん。私をどうするんだい？』
連れ去られた身であるので選択権はヒソカにある。前のように暮らすのもいいが、今ヒソカは安定しているようだから以前ほど私の支えが必要、という訳ではないだろう。
"生活を保証する"という約束を解約した覚えはないが、あれはあくまでヒソカが子供だったから。ヒソカが自由であるのなら、それはそれで構わない。無理に相手を縛る約束はしたくない。
「………」
ヒソカはなにやら考えているようだ。私はその答えをじっと待つ。
「Aって念はちゃんと覚えたのかい？」
『念？え、と四大行とかは………絶以外だけど』
「絶以外？」
ヒソカの疑問顔。それもそうだろう。
『出来なくは無いんだけど……限りなく苦手なんだ』
あれから絶はもう何度練習したかも分からない。無意識下では出来るのだが…意図して、思い通りには出来ない。他は一通り意識して出来るようになった。ただ、絶を応用した隠や硬は同じように出来ないが。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 631人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かかか - えっすっっっっっっき (2021年6月22日 19時) (
レス) id: fdccfef2b5 (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - R指定にはなっていますが内容は特に今までと変わりありません。急にアダルトになったり今まで以上の残酷描写はないです。ただ、いくつかのワードが引っ掛かってしまったので…。立場上強くは言えませんが、誤解は生みたくなかったため説明を入れさせて頂きました。 (2019年4月1日 23時) (レス) id: 8e8afc0dbb (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 続編へのお知らせ。本編に記載が出来ないためこちらに説明を書かせていただきます。続編にはR指定がついてます。続きが読めない方は設定の確認をお願いします。もしくは別サイトでも執筆しているのでそちらで読んでいただけると良いかと…(プロフィールにURLがあります) (2019年4月1日 23時) (レス) id: 8e8afc0dbb (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - 孤歌さん» いえ！大丈夫ですよ！本当は私も外したいのですが…この18禁設定は私がしたものではないので外すことが出来ないんです…。お手数ですが宜しくお願いしますm(__)m。 (2019年3月28日 21時) (レス) id: 5b1d0d0f4c (このIDを非表示/違反報告)
孤歌(プロフ) - あぁ！そうだったんですか！よく確認せずにすいませんでした(ー_ー;) (2019年3月28日 21時) (レス) id: 5a595ce298 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Justice RPG
| 作成日時：2018年7月4日 0時
