36.焦がす ページ42
何かが頬に触れている。それはとても優しくて、私を焦がすように滑り、そして頬全体を包み込む。…温かい。ぬるま湯のように心地よい温度。
『………』
あ、れ…？
心地よいものに誘われるままに目を開くと見知らぬ顔。それは整った綺麗な顔。長い睫毛。でも、多分男性。
……知ってる。
私はこの顔を知っている。面影がある。真っ赤な、髪。
私はゆっくりとその頬に触れる。
『ひ、そか……？』
そうヒソカだ。微かに残るあどけなさがぴったりと重なる。
私が呟くと整った顔が歪む。そして私の手を取り、自らの頬にすり寄るように当てた。私は流れるように彼の頬を包む。
「A」
『ほんとうに…ヒソカ…なの』
「うん」
『そう……そっか』
私は上体を起こしそれから彼の頭を抱き寄せる。
『…………』
感じたのは安堵。これは夢じゃない。現実だ。どんな方法を使ったのかは分からないが、ヒソカが私に会いに来てくれた。いや、ここは私の部屋ではないから正確には私を連れ去ったのかもしれないけど。
『………大きくなったね』
ヒソカの髪に指を通す。以前よりも沢山の赤がまとわりつく。そして頭も手に収まらない。歳はイルミと同じ位だろうから…16歳くらいだろうか。
別れた時は10歳ぐらいだったから……単純に6年ぶり。
6年…6年か。大人の6年はさておき、子供の6年は随分と変わる。小学校だって卒業出来てしまう年月。もう、少年ではなく青年に近い。
「…A」
『うん？』
「………ま、いいか」
『なーに？ヒソカ』
「なんでもないよ」
ヒソカを離し、その顔をみるが読み取ることは不可能だった。
……それにしてもしっかりと美青年に成長している。
「ボクにみとれたかい？」
『うん。私の目に狂いは無かったな、と』
「……ハハ、なにそれ」
ヒソカが困ったように笑う。
私は足を布団から出してベッドに腰かける。ヒソカは近くの椅子に座った。
『それでヒソカ。ここゾルディック家ではないよね』
「うん。ボクが今寝床にしてる家」
『そう……。ん…と、黙って私を連れてきたの？』
「いいや、ちゃんと言ったよ。Aを返してもらいに来たって」
『返してもらい…って、私は君のものではないよ』
「でも奪われたのは事実だ」
そう言ってヒソカは私の手に触れてくる。私はそんなヒソカの手に自らの手を絡める。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 631人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かかか - えっすっっっっっっき (2021年6月22日 19時) (
レス) id: fdccfef2b5 (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - R指定にはなっていますが内容は特に今までと変わりありません。急にアダルトになったり今まで以上の残酷描写はないです。ただ、いくつかのワードが引っ掛かってしまったので…。立場上強くは言えませんが、誤解は生みたくなかったため説明を入れさせて頂きました。 (2019年4月1日 23時) (レス) id: 8e8afc0dbb (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 続編へのお知らせ。本編に記載が出来ないためこちらに説明を書かせていただきます。続編にはR指定がついてます。続きが読めない方は設定の確認をお願いします。もしくは別サイトでも執筆しているのでそちらで読んでいただけると良いかと…(プロフィールにURLがあります) (2019年4月1日 23時) (レス) id: 8e8afc0dbb (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - 孤歌さん» いえ！大丈夫ですよ！本当は私も外したいのですが…この18禁設定は私がしたものではないので外すことが出来ないんです…。お手数ですが宜しくお願いしますm(__)m。 (2019年3月28日 21時) (レス) id: 5b1d0d0f4c (このIDを非表示/違反報告)
孤歌(プロフ) - あぁ！そうだったんですか！よく確認せずにすいませんでした(ー_ー;) (2019年3月28日 21時) (レス) id: 5a595ce298 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Justice RPG
| 作成日時：2018年7月4日 0時
