20.理想郷 ページ26
「逃がさないよ」
イルミの囁きにぞわりとしたものが掛け上がる。私は振り向いてイルミの手を引く。手にぬるりとした感触が移る。そのままイルミを自分の胸に納める。それから血のついてない方の手でイルミの頭を優しく撫でた。
『大丈夫。約束、だもの』
「…………」
『それに、私は君が好きなんだよ。…好きな人が悲しむような真似をしたくはない』
したくは、ない。
けれど。
日々大切なものは増えていく。
少年に始まって、可愛い子供たちに繋がり、ヒソカに繋がってイルミに。
好きなものがどんどん増えていく。
それはとてつもなく嬉しいことだ。私はその全てが大切で愛しい。……けれど、その全てを愛いするのは理想に近い。
家を建てて庭を作ってその箱に好きなものを詰め込んで奥に、奥に仕舞っておく……。
けれど、そこに鍵はない。
私は付けない。
だからはみ出したり、取られたり……それが当たり前で私もそれを望んでいる。
故に、全てを手の中に納めるなんて、常に触れることなんて、そんなことは出来ない。
つまり……相反する約束があって、そのどちらかを選ぶようなことは出来なかった。
だから、そうなったときはせめて、先にした約束を優先に……と思うのだが
「……………」
こうやって私に撫でられて少し頬を緩めた彼が目の前にいて……どうやったら拒否できるのか。触れないでいられるのか。
私には不可能だった。
「………」
この男を送ったのはヒソカだろう。
イルミで無いのなら、残ったのはヒソカしか居ないからだ。それに気づいたイルミが"口封じ"のために殺した。
ヒソカがこの男を送ってきた意図は分からない。
けれど…送れるってことはゾルディック家の監視からはもう完全に外れているということ。そして、ヒソカは私のことをちゃんと覚えてくれている。……それは分かった。
そのことは私の心に温度を与えてくれる。……ちゃんと覚えてくれている。それは思った以上に嬉しいことだ。ヒソカが覚えてくれるなら……彼らも覚えてくれている、とそう思える。…ただの私の理想なのだが…。
『……イルミ』
「？なに」
『お風呂はいらないとね』
「そうだね」
『キルアくん…に産まれて早々他人の血の匂いを嗅がせる訳にはいかないもの』
「うん」
立ち上がってイルミの手を取る。
死体の瞳に移る私に見送られて部屋を出た。
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かかか - えっすっっっっっっき (2021年6月22日 19時) (
レス) id: fdccfef2b5 (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - R指定にはなっていますが内容は特に今までと変わりありません。急にアダルトになったり今まで以上の残酷描写はないです。ただ、いくつかのワードが引っ掛かってしまったので…。立場上強くは言えませんが、誤解は生みたくなかったため説明を入れさせて頂きました。 (2019年4月1日 23時) (レス) id: 8e8afc0dbb (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 続編へのお知らせ。本編に記載が出来ないためこちらに説明を書かせていただきます。続編にはR指定がついてます。続きが読めない方は設定の確認をお願いします。もしくは別サイトでも執筆しているのでそちらで読んでいただけると良いかと…(プロフィールにURLがあります) (2019年4月1日 23時) (レス) id: 8e8afc0dbb (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - 孤歌さん» いえ！大丈夫ですよ！本当は私も外したいのですが…この18禁設定は私がしたものではないので外すことが出来ないんです…。お手数ですが宜しくお願いしますm(__)m。 (2019年3月28日 21時) (レス) id: 5b1d0d0f4c (このIDを非表示/違反報告)
孤歌(プロフ) - あぁ！そうだったんですか！よく確認せずにすいませんでした(ー_ー;) (2019年3月28日 21時) (レス) id: 5a595ce298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Justice RPG
| 作成日時：2018年7月4日 0時
