碧に染まって2【H×H】

53.狭間 ページ3

この二人に聞きたいことはたくさんある。主に能力者云々のことだ。しかし、縛るような道具はここにはない。それに怖いのはパーカーの男の目が覚めて、また同じ状況になることだ。

つまり、危険なものは捨ててしまうに限る。

『みんな運ぶの手伝ってくれると嬉しい』
「運ぶ？」
『うん、出来れば外に』

そして出来れば遠くに。
といっても私は運べない。だから、理想は飲み込む。

『君たちの力なら楽々で運べると思う。…本当は私が行きたいんだけど』

むしろここで無理やりにでも外に出るか。…いや、無理だな。

「ううん、オレたちが運ぶ」
『…ありがとう』

近くにいたマチを撫で、クロロ少年を撫でる。

＿パシ

いや、撫でる前に弾かれた。

どうした？この行動には流石にビックリ。予想してなかった。周りの皆も目をパチパチさせている。それもそうだ。私が言うのもあれだが、クロロ少年は基本私を拒むことはない。

『…少年？』
「大丈夫じゃなかった」

大丈夫じゃなかった…？いまいち意味が解らない。

『…………クロロ少年…？』
「いや……違う、Aのせいじゃない……」

少年は独り言のように呟く。そして私の左手を包み込むように握り、己の額につける。

「…ごめん」
『……………』

謝られた。それも、懺悔するように。

…えっと、正直何を謝られたのかはっきりしない。むしろ謝るのは私の方のはず。少年に謝られる要素なんて無い。


『…いいよ、許す』
「！」


でも、謝るクロロ少年はどこか苦しそうで、多分、許す言葉をかけるのが一番良いと感じてしまった。

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