碧に染まって2【H×H】

65.内か外か ページ15

「Aはここの人間じゃなくても、オレらが知る外の大人とは違う」
「！……」

…オレらが知る大人…とは。こないだの男たちのような奴なのだろうか。

「Aはオレたちを傷つけることはしない」

そう考えるとノブナガの警戒と質問にも説明がつく。
…みんなが知る"外の大人"とはあんな野蛮な奴等だけなのか。むしろ、それがこの世界の理なのか？…いや、勝手な推測は良くないな。

『少年、外の大人ってみんなこないだの男みたいな感じなの？』
「…………そうだよ」

私の予想はあっていたらしい。

…となると疑問が湧くな。
"外の大人"と言うくらいなんだからきっと"内の大人"も居る。彼らはこの現状を見過ごしているのか？

…少なくとも"内の大人"が"外の大人"のようではないことは分かる。少年たちはあくまで"外"にこだわっていた。"内"であれば問題がないと思っているからだろう。

だからこそ、"内ではない"私にノブナガは突っかかるのだから。

『…最後の質問、私が君たちをすんなりと受け入れたことだけど…』

私はノブナガの頭に手を置く。
…手を置くとき一瞬だがノブナガの怯えた顔が見えた。

やはりこの子もそうだ。人の温もりを知らない。

『これも特に理由はないよ。というか、そもそも君たちを拒む理由もない。…でも、そうだな。強いて言うなら』
「………」
『君のその戸惑う顔を見るためとでも言おうか』

ノブナガの中では今、色んな感情が湧いていることだろう。…それでいい。

チラリと少年を見てみるが、予想と反してその顔は穏やかなものだった。ノブナガの戸惑いを優しく見ていた。

…フェイタンの時はあんなにも嫉妬心を出していたからてっきり今回もだと思っていたのだが………。

しかし、この予想外は嬉しい。
少年は身体だけでなく中身もしっかりと成長している。

『さ、真面目な話は終わりにして遊ぼうか』

私はノブナガの背を押してみんなの元へ向かう。

フェイタンとウボォーギンだけだった筈なのに、マチ、フランクリン、フィンクス、パクノダまでもが戦っていた。無論、じゃれあいの範疇だけど。

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