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ぼーっとイルミの出ていった先を見ていたままだった視線を元に戻す。
「カルト?」
「!あ、いえ…」
カルトの驚いた顔を疑問に思って呼べば、直ぐに視線を反らされる。
どこかギクシャクした感じだったが今のオレには問題にはならなかった。
そして、今。
おふくろとミルキを刺してオレは家を飛び出ていた。
恐怖はない。オレは未知なる感覚に胸を高鳴らせていた。だからこそ、山を降りて試しの門を開けた時には既に息が上がっていた。
追っては居ない。
何故だか知らないけど、やっぱり今日は人が少ない。
「っはぁ……はぁ」
ゆっくりと深呼吸する。段々と息が落ち着いてくる。が、鼓動は収まりそうに無い。
オレは抜け出せたんだ。あの家を。殺し屋の生活を。あいつからも。もう、誰も殺さなくていい。あんな思いしなくていいんだ。
_コツ
その足音にびくり、と肩を揺らす。息が止まった。
まさか、誰か帰ってきたんじゃ。
血の気が引いた。多分オレの顔は真っ青だろう。ゆっくりと顔を上げる。そこには姉ちゃんが居た。
「姉、」
呼ぼうとして言葉につまった。
…オレは今、この家を抜けた。
それでを何て言えばいい。いや、そもそも今日がオレにとって特別な日と教えてくれたのは他ならぬ姉ちゃんだ。
そんなに、警戒する必要は、ない。
『キルア。こんなところでどうしたの?』
「あ、あのさ。姉ちゃん」
『うん?』
「オレ」
姉ちゃんの言った通りにしたよ。
オレのやりたいことをやりに行くよ。
そう言おうとしたのに、口は開いたまま動かなくなった。
『キルア、その血どうしたの?』
指が一本も動かせない。瞬きも出来ない。汗が垂れてきてもなにも出来ない。
_コツ コツ
姉ちゃんが近づいてくる。
一歩、一歩…その度にオレの体に何tもの重りがかけられる。その重さにむしろ崩れて潰されてしまいたいのに体はピクリとも動かない。
『それ、誰の血?』
姉ちゃんの手が伸びてきてオレの肩に触れる。その重さに悲鳴をあげそうになる。そしてオレの視線に合わせるように姉ちゃんが膝を曲げる。
姉ちゃんの瞳はオレと同じ色で何度も見ている筈なのに、真っ黒に見えた。
『……誰の血?』
_恐怖
「ご、ごめん…ごめん、なさいっ…」
溢れたのは謝罪。謝らないと自分の中の何かが割れてしまいそうで怖かった。
『……』
「もう、しないからっ、だから」
怒らないで。オレを嫌いにならないで。失望しないで。
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まな - すごい、面白かったです!登場してるハンターハンターのキャラクターの言動とか、考え方とか原作にすごく近くて文に全然違和感がないです。イルミと夢主の絡みとか、本当に言ってそうだなぁとか考えちゃったり…更新楽しみに待ってます。 (2019年7月27日 3時) (レス) id: 5e4d5a9486 (このIDを非表示/違反報告)
ポテチ☆ - 面白かったです!!(((o(*゚∀゚*)o))) (2019年2月28日 20時) (レス) id: f1f75a744a (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - なおさん» ありがとうございます。更新しました。 (2018年2月7日 23時) (レス) id: 0181570eb1 (このIDを非表示/違反報告)
なお - 更新、待ってます。 (2018年1月6日 1時) (レス) id: 48df61d996 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Justice RPG | 作成日時:2017年11月17日 22時