その玖拾参 ページ1
腹部に受けた痛みと共にガチャリと自分の中で音がした。ここで死ぬのだと直感で悟った。
「A!!!」
「ああああああああぁぁぁぁぁ!!!」
心が崩壊していく感覚をどこか遠くで感じ取った。痛み、悲しみ、怒り、苦しみがどんどん募っていく。右手が動かなくなっていた。それもその筈で、気付いたときにはじわじわと自分の身体が岩化していた。膝から崩れ落ち、目を見開くとそのまま一つの岩になってしまった。
「A！しっかりして！お願い!!死なないで!!!Aッ…！お願いだから…ッ!!」
サクラは泣き崩れ、ケンイチは静かに目を伏せた。
「ケンイチさん…！Aはッ…どうすれば…どうしたら元に戻るの…！？」
「いや…もうAは戻らない。こうなっちまったらどうする事も出来ない…開錠しちまったんだ…お嬢ちゃんもアイツから聞いただろ？心施錠を開錠すれば心の中にある闇が爆発する…それに耐えきれず一族は死んでった。…Aもそうだ」
「そんなッ…！A…!!」
Aは暗いところでポツンと一人で佇んでいた。ああ、死んだのかとどこか客観的に考えていた。そんな中で一つの声が暗闇に響いた。
『随分とあっさりしてるよね。未練もないわけ？』
「お前は…俺？」
『そ、俺はお前でお前は俺だよ。ちょっと語弊があるけどね。俺は昔のお前さ』
そこには子供の姿をしたAがいた。子供のAは楽しそうにクツクツと笑っている。
『で？どうなのさ。未練はないの？父さんと母さんが死んで、じいちゃんも死んだ。それでもお前は生き長らえるために心に鍵を掛けたんでしょ？』
「…未練ねぇ…正直思い当たらないんだ」
『本当に空っぽだね、お前は。やっぱりあの時じいちゃんと一緒に死んどけば良かったんじゃない？』
ニヤリと笑みを浮かべる子供のAを無表情で見詰め、その場に腰を下ろした。
『お前が生きたせいで何人の人が死んだと思ってるの？何のために生きてたの？心を無くしてまで一体現世に何のようがあったの？仲間を傷付けるだけ傷付けて、救うフリして陥れて、中途半端な正義で自分を偽って楽しかった？一体お前は何がしたかったの？』
ピシリと自分の身体が岩になっていることに気が付いた。
「俺はただ、アイツ達に生きてて欲しかったんだ。ただ、笑っていてほしかった」
『その自己満足の結果がこれだろ？サスケは里を離れ、サクラは泣かせ、ナルトは己の道をただ進んでいる。取り残されて結局一人。そんな人生、本当に面白い？』
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小泉八雲 - とても面白い作品でした 続きが気になります…更新頑張ってください！応援してます！！ (7月15日 15時) (
レス) @page4 id: a3d5b84e3e (このIDを非表示/違反報告)
夾桃 - (大事な事なので2回言いました) (2021年1月16日 12時) (レス) id: cd7d8171aa (このIDを非表示/違反報告)
夾桃 - めちゃめちゃ感動しました！岩化されちゃったのを解くのはカカシ先生かと思ってたんですが涙。とっても感動しました！ (2021年1月16日 12時) (レス) id: cd7d8171aa (このIDを非表示/違反報告)
小冬 - とっても面白かったです！最後まで、見たいです。お願いします。 (2020年11月22日 0時) (レス) id: b394ae1541 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - 更新停止されてますが、更新待ってます！ (2020年4月19日 18時) (レス) id: 634ca2a9ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Rin´ | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2018年4月28日 22時
