その肆拾漆 ページ49
建物内に運ばれたときAは目を開き、飛び降りた。救護班は慌てて止まりAを見た。
「ちょっ、君！どこ行くんだ!!?」
「あ！もう大丈夫なんで〜！」
言うやいなや走って行ってしまった。Aはトイレに駆け込むと胃の中の物を全て吐き出した。洗面台にいき顔を洗い口を濯ぐと一息ついた。
「ふぅ、思いの外うまくいったな…」
思い出すこと数時間前、いかにしてこの試合を放棄しようか考えながら会場へ向かっていたときだった。
「おっ、Aー！本選はいいのか？」
「今向かってんだよっ！」
「そうか！頑張れよ！ほれ！やるから持ってきな！」
そう言ってAに向かって缶のジュースを投げた。この声をかけたおじさんは八百屋を経営している者だった。片手で受け止めると、眉間にシワを寄せた。
「って、これトマトジュースじゃねぇか！俺嫌いなんだよ……知ってんだろ？なんか血みたいで気持ち悪い……これだ!!!」
これには八百屋のおじさんは驚愕した。本戦の緊張を和らげようとAの嫌いなトマトジュースを渡したら飲み干したのだ。
「うぇぇ…まっずい……もう一本ちょうだい…」
「お前頭おかしくなっちまったのか…？」
そう言いながら渡すとまたもや一気に飲み干したのだ。３本飲み干した頃だろうか、顔は真っ青になり口元がジュースで赤くなっている。
「うぅ…ありがとな……いってくるわ…」
「お、おう、頑張れよ……」
という訳で、先程の血のようなものはただのトマトジュースでAは全くの無傷だったのだ。現に今はピンピンしている。溜め息をつき、廊下に出るとナルトとサクラにバッタリ出くわしてしまった。ばつが悪そうに頭を掻いた。
「あ、あれー、おはよ〜」
しどろもどろになりつつそう言うと二人に抱きしめられた。驚き目を見開くと、二人はポツリと喋りだした。
「…よかった…本当に心配したのよ…！」
「ふざけんなってばよ…！…でも…怪我がなくてよかったっ……」
Aは静かに微笑むと二人を抱きしめた。
「あー、ま、その悪かったな…心配させちまったみてぇで…大丈夫だ、ありがとう」
二人はガッシリとAの両肩を掴んだ。キョトンと二人を見ると何かを企んでいる顔をしていた。
「えっ」
「んで、どーしてわざと負けたのか教えてもらおうか…」
「くっだらない理由だったらただじゃおかないわよ」
Aは乾いた笑みをもらし、二人を振り切り逃げ出した。後ろで何か言っているが、気にせず走り続けた。
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Rin´(プロフ) - tukihoさん» ありがとうございます(о´∀`о)part2へ続いていますので、早めに更新出来るよう頑張ります！ (2017年7月8日 15時) (
レス) id: 71af32377f (このIDを非表示/違反報告)
tukiho(プロフ) - Rin´さん» とても上手いと思いますよ!!お話面白いので更新頑張って下さいね!! (2017年7月8日 14時) (レス) id: 296f9ab165 (このIDを非表示/違反報告)
Rin´(プロフ) - tukihoさん» コメントありがとうございます！その通りです！だじゃれです！ (2017年7月8日 14時) (レス) id: 71af32377f (このIDを非表示/違反報告)
tukiho(プロフ) - 夢主君の術って『Rock』と『Lock』をかけてるんですか!? (2017年7月8日 14時) (レス) id: 296f9ab165 (このIDを非表示/違反報告)
Rin´(プロフ) - マヨラーさん» コメントありがとうございます！負けちゃいましたね。次回に期待しましょう( ＾∀＾) (2017年5月25日 23時) (レス) id: 435c1cb043 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Rin´ | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2017年4月15日 14時
