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「なに。はよどっか行けや」
周りの人は俺を見て笑いをこらえてる。
こんなあからさまやのに、気づかない神ちゃんはなんなんやろ。
もしかして、気づいてて俺と絡んでるんかな。
俺がいじめられてるのを見て面白がってるんかな。
きっとそうや。
やっぱり俺に味方なんていない。
友達も、いないんや。
仕事する気にもなれなくて、そのままトイレに行く。
鏡にうつる自分の姿はすごく惨めで。
生きる価値さえ見当たらない。
誰も自分のことを知らない世界へ行きたい。
誰にも傷つけられないとこに行きたい。
いっそのこと、壊れてしまおうか。
そんなことも考え始めて。
トイレから出てデスクに戻る。
パソコンをシャットダウンして荷物もって。
一応先輩にもいわなあかんよな。
さっきの人のとこ行って。
赤「すいません、体調悪いので帰ります」
「出来損ないは帰るんやなくて消えてな〜」
周りの人は声あげて笑ってた。
こんなくだらんことでよう笑えるわ。
呆れて、っていうかこの場から逃げたくて出ようとしたら、机を思いきり叩く音が聞こえて。
緑「なんですか、それ。しげは出来損ないなんかやない、勝手なこと言わんでください」
神ちゃんの低い声が響き渡る。
「そない怒らんでや、な？」
俺を見る目とはまったく違う目で神ちゃんを見る先輩。
神ちゃんはその先輩を睨み付けてて。
緑「なんでお前黙ってんねん」
その目は俺に向けられた。
緑「なんか言えや！」
神ちゃんの怒鳴り声で、静かな空気が流れる。
緑「なんで………もっと早く言ってくれへんの」
鼻をすする音が聞こえて。
泣いてるのは神ちゃんやった。
赤「俺は………「神ちゃんのこと信用してなかったから〜、やろ？」
神ちゃんに迷惑かけたくなくて、そう言おうとしたのを遮られて。
「こいつな、言うててん。ほんとは神ちゃんのこと鬱陶しいと思ってんねんて」
緑「…………は？」
「ごめんな……言うつもりやなかったんやけど……」
違う、そんなこと言ってない。
一度も言ったことないし思ったこともない。
先輩が勝手に言ったことやのに。
けど、そんなこと言っても信じてもらえないやろうし。
それなら、神ちゃんからも嫌われた方がまし。
その方が先輩達も楽しいんやろ？
赤「………ごめん」
緑「しげ、！」
溢れそうになる涙を我慢して、会社を出た。
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作者名：・み・
| 作成日時：2019年9月29日 10時
