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中間side

「お疲れ〜」

黄「お疲れさまでした」

従業員が退勤していくなか、残ったのは俺とのんちゃんだけ。

黄「まだ帰らへんの?」

聞けば、どこか浮かない表情をしている。

黄「なんかあった?」

桃「……それは淳太さんの方ですよ」

黄「え?」

桃「最近ボーッとしてること増えたし、元気なさそうやし」

黄「そんなことないで。でも、迷惑かけてもうたならごめんな」

そう言えば、のんちゃんは首を横に振ってうつむいた。

桃「……分かってるんです」

のんちゃんの、小さい声がこの部屋に響いて。

今ののんちゃんは、お客さんの前では見せないような姿で。

ずっと頑張ってきた後輩の初めて見る、弱い姿やった。

俺はのんちゃんの隣に座って、背中をさすった。

先輩としてなにか力になれれば、そう思ったのにのんちゃんは俺の手を離して。

桃「好きな人いるのに………こんなことしないでください」

顔をあげたのんちゃんと目が合って。

桃「……重岡くん来なくなってから、淳太さんの様子おかしかった」

長い間一緒にいたからか、心のなかを読まれてる気がして。

黄「………気づいてたんや」

桃「当たり前やないですか……っ」

のんちゃんの頬には涙が流れてた。

先輩やのに、なにもできなくて。

可愛い後輩の力にもなれなくて。

そんな自分が情けない。

服で涙をぬぐうのんちゃんを見て、ティッシュを渡そうと立ち上がったとき、強くひかれて。

のんちゃんの腕が前にまわってきた。

桃「………諦めようとしました……でも………ごめんなさい…………まだ淳太さんのことが好きです……っ」

思ってもなかった、後輩からの告白になにも返せなくて。

体さえ動かなくて。

桃「俺じゃ………ダメですか」

のんちゃんの声が震えてた。

でも、今の俺は誰も幸せにできない。

前にまわってる手をそっと離した。

黄「もう……遅いからかえらな」

結局逃げることしかできない。

のんちゃんの気持ちからも、自分の気持ちからも。

俺はどれだけの人を傷つけてるんやろ。

情けなくて、悔しくて。

のんちゃんの鼻をすする声に気づかないふりをして、店を出た。

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作者名:・み・ | 作成日時:2019年9月29日 10時

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