不器用なふたり (ページ33)

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重岡side

「さぼり野郎はこんくらいやらんとな？」

そう言って机の上に置かれる山積みの書類。

現実はそううまくいかないみたいや。

でももう大丈夫。

俺には淳太も、神ちゃんもいるから。

緑「しーげ！」

赤「ありがと」

神ちゃんが半分とってくれて。

今日は隣でやるらしい。

椅子をひけば、勢いよくこっちを向いた。

緑「ただやるのもつまんないやん？」

赤「せやな」

緑「やからさぁ～！」

赤「な、なに」

にやにやしてる神ちゃんに、嫌な予感しかしない。

緑「恋バナしようや！」

予想的中。

言われると思った。

でも、なんか楽しそう。

ただ仕事やるよりも、楽しくなりそうや。

神ちゃんの話し、たくさん聞きたいし。

緑「まずしげからな！」

赤「は？！む、無理」

緑「いわなあかんの！まず、淳太さんの好きなところ！」

赤「な、なんで！嫌や！」

緑「拒否権ありませーん！」

やけにノリノリな神ちゃんから、もう逃れられる方法はないらしい。

赤「か、っこよくて……優しくて……一緒に、おったら、……落ち着くところ」

緑「顔真っ赤やぁ！可愛いー！」

赤「ま、って……ほんまに…あかんて………」

まさか神ちゃんにいじられる日が来るとは思わんかった。

顔が熱すぎる。

緑「やっぱあの日誘って正解やったな！」

それは……ありがとうやけど。

神ちゃんに誘われてなかったら淳太とも出会えてなかったわけやし、今生きてなかったかもしれないし。

まさか自分が、ホストに恋するとか思ってもなかった。

赤「神ちゃんはさ、のんちゃん好きになったことある？」

緑「んー、１回な。でものんちゃんに好きな人おったから諦めたで」

赤「そうなん？」

緑「今はただの憧れやけどその時は本気で好きやったから、まぁしんどかったな！」

全然知らんかった。

神ちゃんにもそんな時期あったんや。

緑「でも淳太さんに彼女いるとか聞いたことないし、俺は応援しとるで！」

赤「ありがと。多分無理やと思うけど」

緑「大丈夫やで！しげ可愛いもん！」

赤「や、から……その、か、可愛いやめて」

緑「やめへん！可愛いから！」

赤「神ちゃん、」

緑「しげ可愛い～！」

また始まってもうた。

少し恥ずかしかったけど、こうやって話してれば憂鬱な仕事も楽しく感じられた。