不器用なふたり (ページ22)

今日:49 hit、昨日:29 hit、合計:163,713 hit

22 ページ22

「お疲れさまでした～」

そんな声が飛び交うなか、一人パソコンと向き合う。

時刻は7時。

集中力もとぎれて、スマホを取り出す。

LINEを開けば一番上に出てくる、淳太の文字。

心臓がうるさくなって、慌ててスマホをおいた。

名前見ただけでこんななってたらあかん。

どうにか落ち着かせて、またパソコンに向かう。

緑「………ごめん」

神ちゃんが申し訳なさそうに眉を下げて。

緑「のんちゃん………会いたい」

赤「ん。俺は大丈夫やから行ってき」

緑「………ほんまにごめん」

赤「大丈夫やって。はよいかな神ちゃんのこと待ってるんやない？」

緑「ありがとう、しげ」

そういって会社を出る神ちゃんを目で追う。

会社には俺一人だけになって。

散らかってる机の上に顔を伏せた。

浮かんでくるのは淳太の顔。

あの優しい笑顔が頭から離れない。

赤「………会いたい」

はまった、とかそんな軽い言葉じゃ足りないくらい。

俺はあいつを好きになってしまった。

認めてしまえば、好きって気持ちが溢れて止まらなくて。

仕事なんか手につかないくらいあいつのことでいっぱいで。

顔をあげてスマホを開く。

終わりにしよう。

叶わない恋なんか、追いかけても無駄や。

LINEを開いて、淳太の連絡先を消した。