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重岡side

駅について店まで歩く。

賑やかなこの世界にいると、なぜか優越感に浸れるんや。

神ちゃんがはまるのも、分かる気がする。

「いらっしゃいませ〜!」

緑「のんちゃんお願いします!」

大きな声で言えば、のんちゃんという人が出てきた。

桃「お、仲直りしたんやな?」

緑「そ、それは言わない約束やろ!」

赤「仲直り?」

緑「なんでもないなんでもない!はよ行こ!」

よく分からんけど、神ちゃんは行ってしまった。

「お客様、前回も来ていただきましたよね?」

赤「あ、はい」

「ご指名とかありますか?」

赤「えっと、じ、淳太で」

こういうのめっちゃ恥ずかしい。

神ちゃんは凄いな。

黄「お、来てくれたん。ありがと」

淳太が出てきて、一瞬だけ、胸が熱くなった気がした。

黄「行こっか」

歩いていく淳太についていって。

神ちゃんとは離れたテーブルに案内された。

黄「仕事終わり?」

赤「まぁ。長引いてもうたけど」

黄「お疲れさん」

優しく頭を撫でられた。

ホストって、ほんまにこういうことするんや。

かっこつけてそんなこと考えたりもするけど、実際はめっちゃ顔が熱くて。

黄「せや、LINE交換しよ」

赤「え………」

黄「その方が楽やろ?」

赤「せやな」

スマホを取り出して。

黄「ん。ありがと」

ホストなんて客が金みたいなもんで。

逃がさないためにこうやってLINE交換したりしてるんや。

深い意味なんかあるわけない。

なに当たり前のこと考えてるんやろ。

黄「今日は大丈夫そうやな」

赤「え?」

黄「表情明るいからさ」

赤「せやな」

顔の表情とか、いちいち見てるんや。

いや、それが仕事やもん。

って、なんか今日の俺おかしい。

「淳太さんお願いします〜!」

大きな声が店内に響く。

黄「ごめん呼ばれてもうた」

人気者は大変やな。

さっき座ったばっかやのに。

黄「また来るから待ってて」

そう言って席をたった。

時計を見ると、もう11時すぎてた。

明日も仕事やしかえらな。

前ならすぐ帰ってた。

でも今日はまだここにいたくて。

誰かと話していたかったから。

戻ってくるって言ってた淳太を待ってた。

こうやってここに座ってるだけで、お金どんどん取られてるんやろな。

なのに嫌な気がしないのはなんでなんやろ。

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作者名:・み・ | 作成日時:2019年9月29日 10時

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