検索窓
今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:52,463 hit

ページ35

教師の仕事で、大変なこと、辛いことはたくさんあった。

でも保護者さんにこんなに怒られて、嫌われたことはなかった。

それがこんなに辛いことだなんて…。


「大丈夫、大丈夫…」


自分に言い聞かせるように何度もそうつぶやきながら、水浸しの床を拭いていた。

「大丈………

……本当に、辞めたほうがいいのかな…」


その翌週。


相変わらず桃嵜さんに叱責され続けていた私は、精神的に疲れ切ってしまっていた。

放課後、職員室でパソコンに向かっているけれど、どうもやる気が出なくてぼーっとしている。

「A先生、申し訳ないんですが、教室の戸締まりが出来ているか、確認してきてもらってもいいですか?」

「はい…」

「ありがとうございます」

担任の先生に言われて、立ち上がり、職員室から出て行った。

「……」


廊下を歩き、階段を上る。

ふと窓の方を見ると、空が虹色のように綺麗なグラデーションになっていた。

日が短くなったなあ…。


5-2の教室に着き、扉に手をかける。

するとガッと音を立てて引っかかった。
鍵はちゃんと閉まっていたようだ。


窓の鍵も閉まっていることを確認し、踵を返す。


私の足音だけが響いていた。
いつもならなんともないのに、

それが、なんだか、寂しい。


まるで世界中で、自分だけが独りぼっちになってしまったような。


職員室まで戻ってきて、中に入ろうとすると、先生方の会話が聞こえてきた。


「宗像先生、大丈夫ですかね?最近ずっとあんな感じですけど…」

「ねぇ。なんか無気力っていうか、暗いっていうか…」

「桃嵜さんに言われたこと気にしてるんですかね?」

…私のことを話してる。入りづらい。


そのまま引き返し、足音を立てないように廊下を歩いていると、ふと、水道に置かれた一つの花瓶が目に入った。


花瓶…。


花瓶を見ただけで、桃嵜さんのことを思い出してしまい、


胸の辺りがきゅっと苦しくなる。


花瓶に差してあった花はしおれてしまっていた。


「……」


花を抜き、昇降口の方まで歩いていって、そのまま外へ出た。


しおれてしまった花は、近くの花壇に隠すように置き、


私はそのまま校門を出る。

花瓶に差す新しい花を買ってこよう。
お財布はポケットに入っているし。

小学校から南へ歩いていった先には花屋がある。

コートは職員室に置いてきてしまったから、ブラウスとセーターに桜色のカーディガン一枚という服装でとても寒かったけど、

そんなこともどうでもいい程心が渇いていた。

○→←○


  • 金 運: ★☆☆☆☆
  • 恋愛運: ★★★☆☆
  • 健康運: ★★★★★
  • 全体運: ★★★☆☆

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
47人がお気に入り
設定タグ:妖怪ウォッチ , 夢小説
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

海葉(プロフ) - 明石美音子さん» あっスミマセン、レスボタン押すの忘れてました(-.-;) (2017年12月3日 11時) (携帯から) (レス) id: f36489ca03 (このIDを非表示/違反報告)
海葉(プロフ) - ハッ!(゜ロ゜)使用済みという考え方がありましたか!そうかもしれませんねぇ(笑)大将組はもちろん、皆さん変だったので、ツッコミ役三人組に期待してしまいましたよ(笑) (2017年12月3日 11時) (携帯から) (レス) id: f36489ca03 (このIDを非表示/違反報告)
明石美音子 - 海葉さん» ありがとうございまーす!そうだったんですか!?嬉しいです!大将さんたち登場しましたね!もういろいろ面白くてずっと笑ってました(笑)オロチさんがマフラー龍の頭にまでブリーフ被せてたのが印象的でした(笑)あれは新品なのか、それとも彼の使用済みなのか…。 (2017年12月3日 0時) (レス) id: e8c22bb6a4 (このIDを非表示/違反報告)
海葉(プロフ) - 続編おめでとうございまーす!私はよく宗像ちゃんを思い出して頑張っている人の一人です、いつもありがとうございます…!ああ、そういえば大将組、先週出てきましたよね!どうでした?(私はオロチさんのブリーフの身につけ方が好きですね(笑)) (2017年12月2日 20時) (レス) id: c9a6b087d8 (このIDを非表示/違反報告)
明石美音子 - ユカ松♪さん» どういたしまして!ありがとうございます!お気に召されたなら良かったです! (2017年11月22日 22時) (レス) id: e8c22bb6a4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:明石美音子 | 作成日時:2017年10月9日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。