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教師の仕事で、大変なこと、辛いことはたくさんあった。
でも保護者さんにこんなに怒られて、嫌われたことはなかった。
それがこんなに辛いことだなんて…。
「大丈夫、大丈夫…」
自分に言い聞かせるように何度もそうつぶやきながら、水浸しの床を拭いていた。
「大丈………
……本当に、辞めたほうがいいのかな…」
その翌週。
相変わらず桃嵜さんに叱責され続けていた私は、精神的に疲れ切ってしまっていた。
放課後、職員室でパソコンに向かっているけれど、どうもやる気が出なくてぼーっとしている。
「A先生、申し訳ないんですが、教室の戸締まりが出来ているか、確認してきてもらってもいいですか?」
「はい…」
「ありがとうございます」
担任の先生に言われて、立ち上がり、職員室から出て行った。
「……」
廊下を歩き、階段を上る。
ふと窓の方を見ると、空が虹色のように綺麗なグラデーションになっていた。
日が短くなったなあ…。
5-2の教室に着き、扉に手をかける。
するとガッと音を立てて引っかかった。
鍵はちゃんと閉まっていたようだ。
窓の鍵も閉まっていることを確認し、踵を返す。
私の足音だけが響いていた。
いつもならなんともないのに、
それが、なんだか、寂しい。
まるで世界中で、自分だけが独りぼっちになってしまったような。
職員室まで戻ってきて、中に入ろうとすると、先生方の会話が聞こえてきた。
「宗像先生、大丈夫ですかね?最近ずっとあんな感じですけど…」
「ねぇ。なんか無気力っていうか、暗いっていうか…」
「桃嵜さんに言われたこと気にしてるんですかね?」
…私のことを話してる。入りづらい。
そのまま引き返し、足音を立てないように廊下を歩いていると、ふと、水道に置かれた一つの花瓶が目に入った。
花瓶…。
花瓶を見ただけで、桃嵜さんのことを思い出してしまい、
胸の辺りがきゅっと苦しくなる。
花瓶に差してあった花はしおれてしまっていた。
「……」
花を抜き、昇降口の方まで歩いていって、そのまま外へ出た。
しおれてしまった花は、近くの花壇に隠すように置き、
私はそのまま校門を出る。
花瓶に差す新しい花を買ってこよう。
お財布はポケットに入っているし。
小学校から南へ歩いていった先には花屋がある。
コートは職員室に置いてきてしまったから、ブラウスとセーターに桜色のカーディガン一枚という服装でとても寒かったけど、
そんなこともどうでもいい程心が渇いていた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
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海葉(プロフ) - 明石美音子さん» あっスミマセン、レスボタン押すの忘れてました(-.-;) (2017年12月3日 11時) (携帯から) (レス) id: f36489ca03 (このIDを非表示/違反報告)
海葉(プロフ) - ハッ!(゜ロ゜)使用済みという考え方がありましたか!そうかもしれませんねぇ(笑)大将組はもちろん、皆さん変だったので、ツッコミ役三人組に期待してしまいましたよ(笑) (2017年12月3日 11時) (携帯から) (レス) id: f36489ca03 (このIDを非表示/違反報告)
明石美音子 - 海葉さん» ありがとうございまーす!そうだったんですか!?嬉しいです!大将さんたち登場しましたね!もういろいろ面白くてずっと笑ってました(笑)オロチさんがマフラー龍の頭にまでブリーフ被せてたのが印象的でした(笑)あれは新品なのか、それとも彼の使用済みなのか…。 (2017年12月3日 0時) (レス) id: e8c22bb6a4 (このIDを非表示/違反報告)
海葉(プロフ) - 続編おめでとうございまーす!私はよく宗像ちゃんを思い出して頑張っている人の一人です、いつもありがとうございます…!ああ、そういえば大将組、先週出てきましたよね!どうでした?(私はオロチさんのブリーフの身につけ方が好きですね(笑)) (2017年12月2日 20時) (レス) id: c9a6b087d8 (このIDを非表示/違反報告)
明石美音子 - ユカ松♪さん» どういたしまして!ありがとうございます!お気に召されたなら良かったです! (2017年11月22日 22時) (レス) id: e8c22bb6a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:明石美音子 | 作成日時:2017年10月9日 21時