☆ ページ23
「!……」
そうしてえんらさんは、「おじゃまするわね〜」と私に言うと、スルスルと窓の隙間から細い煙になって入ってきてしまう。
思った以上に「煙」だった。
えんらさんは入ってこれたものの、彼女が持っていた風呂敷だけ入れず、引っかかってしまった。
「あら、ごめんなさいね〜」
私は結局、窓を開けて風呂敷包みも中に入れた。
「えんらさん、どうしたんですか?すごく久しぶりですけど…」
えんらさんは髪や着物の乱れを直し、私の方に寄ると、その顔を覗き込む。
「Aちゃん体調崩して倒れちゃったんでしょう〜?オロチから聞いたわ〜。
それで親方様も心配なさって、お見舞い品を届けるようにって仰せつかったのよ〜」
「そんな大げさな…」
と私は布団に腰を下ろし、けほこほと手で口を覆って咳をした。
「これは?」
私が、えんらさんが持っていた風呂敷包みを指差した。
「そうそう、それがお見舞い品よ〜。今出すわね〜」
「わざわざすみません…」
と恐縮すると、えんらさんは私の頭を優しく撫でてくれた。
「これはね、ほとんどが妖魔界で売られているもので、Aちゃんに合うか分からないけど〜…」
と彼女が風呂敷包みから何かを取り出す。
そしてその一つひとつの物について説明してくれた。
お見舞い品は、変わった漢方薬に始まり、いろいろな本や、精のつきそうな食べ物。
さらには元祖と本家のお饅頭まで入っていた。
「この漢方は、妖怪にはとても効くのよ〜。人間界にも漢方薬はあるみたいだし、Aちゃんも良かったら飲んでみて〜?」
「ど、どうも…」
「この本は、親方様が、『家にずっと一人で寝てるなんてきっと退屈だろうから』ってことで、暇つぶしに読めって仰ってたわ〜」
何冊かあるうち、一冊の本の表紙に惹きつけられた。
「いやしの天使ちゃん」という絵本らしい。
これは読んでみたいかも。
「あとは冷蔵庫にしまっておくわね〜」
そして食材をしまい、冷蔵庫の扉を閉めたえんらさんが振り返ってこう言った。
「……それで、Aちゃん、お昼はもう食べたのかしら〜?」
そういえば……。
「私でよければ、作りましょうか〜?」
えんらさんが私のまわりでふわふわと浮きながら楽しげにしている。
そのとき、タイミングがいいのか悪いのか、私のお腹がぐーっと鳴った。
熱のせいか、恥ずかしさのせいか、顔が少し熱くなるのを感じる。
「待ってて〜。すぐ用意するわね〜」
えんらさんまでお母さんみたいだなあ…。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
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海葉(プロフ) - 明石美音子さん» あっスミマセン、レスボタン押すの忘れてました(-.-;) (2017年12月3日 11時) (携帯から) (レス) id: f36489ca03 (このIDを非表示/違反報告)
海葉(プロフ) - ハッ!(゜ロ゜)使用済みという考え方がありましたか!そうかもしれませんねぇ(笑)大将組はもちろん、皆さん変だったので、ツッコミ役三人組に期待してしまいましたよ(笑) (2017年12月3日 11時) (携帯から) (レス) id: f36489ca03 (このIDを非表示/違反報告)
明石美音子 - 海葉さん» ありがとうございまーす!そうだったんですか!?嬉しいです!大将さんたち登場しましたね!もういろいろ面白くてずっと笑ってました(笑)オロチさんがマフラー龍の頭にまでブリーフ被せてたのが印象的でした(笑)あれは新品なのか、それとも彼の使用済みなのか…。 (2017年12月3日 0時) (レス) id: e8c22bb6a4 (このIDを非表示/違反報告)
海葉(プロフ) - 続編おめでとうございまーす!私はよく宗像ちゃんを思い出して頑張っている人の一人です、いつもありがとうございます…!ああ、そういえば大将組、先週出てきましたよね!どうでした?(私はオロチさんのブリーフの身につけ方が好きですね(笑)) (2017年12月2日 20時) (レス) id: c9a6b087d8 (このIDを非表示/違反報告)
明石美音子 - ユカ松♪さん» どういたしまして!ありがとうございます!お気に召されたなら良かったです! (2017年11月22日 22時) (レス) id: e8c22bb6a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:明石美音子 | 作成日時:2017年10月9日 21時