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「真島どいて！」
銃を構えてバットを弾き飛ばすと男はその衝撃で倒れ込んだ。
「アホ！使うな言うとるやろが！」
「仕方ないでしょ今のは！」
はらりと縄が解けて手が自由になる、こうなったらもうこちらのテリトリーだ。あっという間に男達を片付けてしまった。
「こんな奴等にやられたんか俺は」
「そのことなんだけど……。ごめん、私が元凶でした」
「ぜーんぶ、伊達から聞いたわ」
「あいつどこまで知ってんの？」
「お前はどうするんや」
「どうするって？」
「表には伊達がおるで」
「そうだった。っていうか何で伊達まで付いてきてるの」
「ここをつきとめたんは伊達や」
真島の後ろに隠れながら渋々と表へ出ると、そこには車に寄りかかって煙草を吸いながら待つ伊達がいた。
「誰だ？弾(たま)撃ったのは。撃たせるなって約束だったじゃねぇか」
「誰にも当てとらん」
「そういうことじゃねぇんだかな」
「なんなの……？撃たせないって」
「やっと、お目当てがお出ましだ。お前の顔を拝める日が来るとはなぁ」
「……真島、まさか私を売る気？」
「……」
「ちょっと何で黙るの」
「とりあえず、話そうかAさんとやら」
「冗談でしょ……」
伊達が後部座席のドアを開ける、乗れということだ。乗る直前、真島を見るとバツが悪そうに目を逸らされた。
ドアを閉めた伊達がぐるりと回り運転席に乗り込むと、空気を遮断されたように息苦しくなった。
「さて、どこから話そうか。表沙汰にしてはいねぇが、お前が指名手配されてるのは知ってるよな？」
「……」
「見つけちまったからには連れて帰らなきゃならねぇ。これで俺は出世できそうだ」
「あんた……」
「中で何してた」
「……」
「質問を変える、何で俺を呼んだ」
「なんのこと？」
「朝だよ。桐生に電話しただろ？何で俺を指名したんだ。桐生の知り合いだからか？」
「さぁ、覚えてないな」
「どうして跡が付くようなことをしたんだ。桐生が黙ってくれるとでも思ったか」
「桐生一馬って口軽いんだ」
「馬鹿言え。吐かしたのは俺だ。二人に感謝しろよ、頭下げたんだからよ」
「頭下げた？」
「お前を逮捕するのは待ってくれと二人に頼まれたんだ。もちろんそんなこと普通の刑事なら冗談にもならねぇ話だが」
外にいる真島を見ると、話が終わったと思ったのか車に近寄ってきた。
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作者名：那賀川かがな | 作成日時：2024年2月26日 16時
