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縄で縛られ身動き取れない。ここがどこなのか、どのくらいの時間が経ったのかもわからない。殴られた傷口は痛むし、男達の喚く声で頭が割れそうだ。銃さえあればこんな奴等一瞬なのに。
「お前にはどう落とし前付けてもらうかずっと考えたんだ。簡単には殺さねぇからな」
「だったら何で真島を狙ったの」
「真島が死ねばお前が俺等を探しに来ると思った。わざわざ救急車を呼んてやったのも俺だ。死なずともお前が動き出すと踏んでたしな。それに東城会の真島を殺せば箔が付く。俺たちはもう組を抜けてる、何も怖いもんなんかねぇんだよ」
「これが無敵の人ってやつか」
真島は生きているだろうか。無事だったとしても、きっと真島は来ない。今頃、私のことなんか知るか、とか言っているに違いない。いやそもそも私のことを誰にも話していないかもしれない。待ってても助けは来ない。自力でとうにかするしかないんだ。
靴下に仕込んでおいたカッターを取り出し、気付かれないように縄に当てる。男達は四人、順序よく倒していく作戦を考えながら手を動かした。
「兄貴の
男がバットを持って近寄ってきた時、バツンと部屋の電気が落ちた。
「なんだよ、停電か？誰か見てこいよ」
ドアを開けた瞬間、外の明かりが人型のシルエットを作った。それが動くと、近くにいた男が室内へふっ飛ばされた。
「誰だ！」
「誰？忘れてもうたなぁ。お前らがいっちゃん知っとるやろ。教えてくれや？」
「ま、真島！？何でここが分かった！」
「デカの情報舐めたらアカンのやで」
部屋の電気が復帰して明かりが広がる。
「どけや」
蛇柄のジャケットと革パンツの格好をした真島は、男を払い除け、こちらに歩いてくる。
「記憶、戻ったの……？」
「大事なもん忘れとったで」
差出されたのは愛用の銃。受け取りたいが未だ縄は解けていない。それに気付いた真島は背中に隠したドスを取り出した。切ってくれるらしい。
「その銃ここではしまっとけ」
「なんで？」
「表に伊達がおる」
「伊達って刑事の？はぁ！？」
ふと、頭上に影が降りる。見上げると男がバットを振り下ろそうとしていた。
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作者名：那賀川かがな | 作成日時：2024年2月26日 16時
