サブストーリー 名を忘れた男5 ページ1
「おい、真島！」
「ん……桐生ちゃん、やないか」
「大丈夫か、何があった」
「アイテテ……！ここはどこや」
「あんたの病室だ。俺の名前を言えるってことは思い出したのか」
「なんやったかなぁ、今頭ん中ゴチャゴチャや」
「ん？」
床に転がった拳銃を桐生が手に取った。
「これは誰のだ」
「あぁ、それはAのや……。ってAは！？」
「見てないが」
「アイツらぁ。こないとこで寝とる場合やない」
「ちゃんと説明しろ」
「チンピラ風情のやつらが病室に入ってきたんや。俺も殴られて、Aもやられた。そんでそのまま連れていかれた。殴られたお陰で記憶は戻ったがのう」
「何故Aを……」
「一足遅かったか」
そこに現れたのは伊達だった。
「伊達さん」
「記憶戻ったか真島。そのチンピラっつーのはコイツらか？」
伊達が携帯の画面を真島に向ける。そこには夜道を歩くバットを持った男達だった。
「コイツらや！何者じゃ！」
「お前を襲ったやつらだよ。防犯カメラにしっかり映ってた」
「お手柄だ、伊達さん」
「じゃあ何でAが拐われるんや。人質のつもりか」
「逆だ。桐生、秘密は無しだせ。俺達の仲だろう」
「何がだ？」
「その拐われたAってやつ、殺し屋だろ」
「……違う、と言っても無駄か」
「刑事の情報を舐めてもらっちゃ困る。コイツらは上野誠和会の元組員だ。真島には思いれ深いだろ」
「なんやとコラァ。口が過ぎるんとちゃうか、ぶっ殺すぞ」
「悪い悪い。コイツらの兄貴分に小川ってやつがいたんだが、数年前に遺体で発見されてな。殺した犯人をコイツらがずっと探してるって話なんだが、とうとう犯人を見つけたわけだ」
「俺は殺っとらんで」
「そうだ、お前じゃない」
「まさか……」
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作者名：那賀川かがな | 作成日時：2024年2月26日 16時
