劣るモノ ページ27
路地裏の行き止まりとなった塀の前で、肩を上下させて呼吸を整える。
振り返ってみるが、そこにはもう影の姿はなかった。
『……ねぇ、ロボロくん。もしかしてロボロくんさ、霊感とかある人?』
ロ「……まぁ、な。Aと同じように、俺も人間に見えへんものは大体見えるんや」
ロボロは大先生みたいなその日だけ見えるようになる人じゃなくて、私みたいにもともと見えちゃう体質ってことか。
頭の中でそう整理し、ロボロくんの方を向いてお礼を言おうとしたとき。
『……え?ロボロ、【人間に】ってどういうこと?』
改めて考えてみると違和感のある言葉。
まるで自分は人間じゃないような……。
呼吸を整えたロボロはゆっくりと顔を上げる。
『……ッ!?』
背筋が凍りつくほど、ロボロの雑面から覗く瞳は冷たかった。
『ロボ……』
ロ「なぁA。巫女の生活しとって、疲れとらん?」
『え……?』
ロ「疲れるやろ。毎日毎日影もそれ以外も倒して、誰も信じてもらえへんし、感謝もされへん。
ずーっと【劣等生】やってて、疲れへん?」
『ッ!?』
何故私が巫女をやっていることを、ロボロが知っているのか。
そんなことは気にもならなかった。
ロボロ……?
『な、何言って……』
ロ「本当は辛いやろ?苦しいんやろ?俺はその気持ち、ようわかるで」
『……ッ!勝手なこと言わないで!私は自分から巫女の役目を引き受けたの!私は辛くも苦しくもないんだから!!』
哀れむような言葉を向けらるのが嫌で、私はそう言い切る。
けれどロボロの口は止まらない。
ロ「そう思い込んどるだけやろ。そうやないと、巫女の仕事を続けられへんから」
『やめてってば!ロボロに何がわかるの!?』
ロ「わかるで」
ロ「……だって、俺も【劣等生】やもん」
突然、首裏に強い衝撃。
『ロボ、ロ……?』
視界の隅に黄緑色を捉えた次の瞬間、私の視界はブラックアウトした。
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シリウス(プロフ) - フェノさん» コメントありがとうございます!そう言っていただける作品を書ききることができ、嬉しいです!ここまで本当にありがとうございました! (2019年10月12日 17時) (レス) id: 6232b3f710 (このIDを非表示/違反報告)
フェノ(プロフ) - 完結おめでとうございます!そしてお疲れ様でした!とても面白くて、毎回の更新が待ち遠しくなるほど大好きでした!!番外編も、無理しない程度にがんばってください!!これからも応援してます! (2019年10月9日 22時) (レス) id: dddb82ec89 (このIDを非表示/違反報告)
シリウス(プロフ) - 鈴蓮さん» コメントありがとうございます!ここまで本当にありがとうございました……!! (2019年10月9日 16時) (レス) id: 6232b3f710 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蓮(プロフ) - 完結おめでとうございます……! (2019年10月9日 7時) (レス) id: 4a95fce3d1 (このIDを非表示/違反報告)
シリウス(プロフ) - 千12さん» プロ結果!!((殴 すみません調子乗りました← コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年9月28日 17時) (レス) id: 6232b3f710 (このIDを非表示/違反報告)
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