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外に出たい。
街を歩いてみたいし、甘味処や雑貨屋にも行ってみたい。
それから、いつか想いを寄せる方と逢引をしてみたい___
彼女のそのような願いは年々膨らむばかりだった。
しかし相変わらず敷地外には出してもらえないし、そもそも出たがると両親にきつく叱られるのでここ数年は出たいとも言わなくなっていた。
それでも、外に行ってみたい、せめて身内以外の人と話をしてみたい、という願いは捨てられなかった。
「…!そうだ」
ふと、ある事を思いつき、いそいそと準備をする。
「自己満足だけど、これくらいなら、いいよね…」
周りに誰も居ないのを確認し、庭に下りてまだ蕾の桜の枝に文を結び付ける。
こんなの、誰も気付かないかもしれない。
何の意味も無いかもしれない。
それでも、もしかしたら誰かが読んでくれるかもしれない、そしてあわよくば外の事を色々聞けるかもしれない、という僅かな希望が生まれ、久しぶりにワクワクしていた。
これが後に自分の人生を大きく変えるなんて、彼女は知る由もなかった。
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鮭大根大好き - 何と切ない,,,泣泣猗窩座はやはり優しい,,,素敵でした! (2020年11月12日 20時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 切なくて泣きました 私もアカザが好きなので読むのが楽しかったです (2020年5月5日 2時) (レス) id: 9f2a54f0b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mel | 作成日時:2020年3月8日 7時