双子の矛盾恋愛式（green）１０

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兄の緊張はすぐにわたしにも伝染した




だって、双子なんだもん




明らかなべつの熱をもった夏の日


引き攣るように動く心臓
それを鎮めるためにふかい呼吸をくりかえしてたら
そっと、頬を包みにきた手のひら


びくっと身体が動けば
わたしはもう、
心のどこかで悟ってしまって









大「・・・ちょうだい」









好きで好きで、いとおしくて仕方ない片割れの
聞いたこともないようなせつない声









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大「Aを、俺にちょうだい」









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涙がひとつ

睫毛からこぼれ、頬に落ちる









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「・・・うん」









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「お兄ちゃんに、あげる」









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ばかなことだなんて、わかってたよ









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はじめてする、大人のキスは
涙の味でしょっぱくて

ふたりしてぎこちなく、でも必死に絡め合いながら

夏の日の真昼の底へと沈んでいった




いつか、もしかしたら、
こんな日が来るかもしれないと
感じてはいたけれど






「ん・・・っ」






兄のにおいでいっぱいのシーツ


煌々とした部屋の中で
夢中になってたくさん唇を合わせて
肌を滑る忠義の手がすっかり男の人の感触で
でも、怖がるように小さく震えているのが
どうしようもなく青くさくて


わたしのからだは
まだ、ほんの少女だけど


あなたの目にはどう映ってるかな？






大「深呼吸、できる？」


「っ・・・あ、」


大「ごめんな・・・痛かったら今日はもう」


「やっ・・・やめ、な、いで」






これがこんなにもあったかくて
しあわせで
痛みさえ甘いものだとは
思ってもいなかった






大「A・・・好きや」






おどろくほどの圧迫感で息を浅くしながら
わたしは忠義の首にぎゅっとしがみついて






「わたしも・・・すき」






「忠義が、」






______________________大好き






いっしょに、溺れた


はじめてのそれに
はじめてのたしかな熱にすべてがあふれて
止めることなんてとうぜん出来ず
気が遠くなるまで没頭した


何度も、何度でも


求めて、求められて








大「・・・ずっと、ずっとそばにおるからな」








わたしをきつく抱きしめながら
あなたが、泣いていた


それは幸せだったから？


それとも・・・







「ん・・・おにいちゃ・・・」









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