第5話 ページ5
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『……ッ!』
こんな幸せな鉢合わせがあるだろうか。経理部へ出向いていたのだが、そこで何とリヴァイ部長とバッタリ。
リヴァイ部長も一瞬、驚いた表情を見せたが、すぐに普段通りに戻ってしまった。
「よう、ご苦労様」
「お疲れ様です。部長自ら経理部へ?」
「あぁ、新人は大変そうだからな。俺が暇な時は少しの雑用くらいしてやらねぇと」
「お優しいんですね」
彼の手には確かに、それくらい自分で出せよと言いたくなるような領収書が数枚。リヴァイ部長の前だから表情は気を付けないと…
本当に優しいんだな。益々、好きになっちゃう。
おっと私の可愛い乙女な部分が…
「お前は?広報だろ」
「えぇ、新商品のPRで予算の相談を」
「なるほどな、確かに今回は期待の商品だと社長がうるさかったな…開発部からも自信作だから営業しまくれと言われたが」
「営業も大変ですね。お身体、気を付けて下さいね」
「全くだ。広報もメディアやら上司やらに気ぃばっか遣って自分がくたばんなよ」
そうやって部長は優しく微笑む。
笑うなんて珍しい。私に笑ってくれた。
特別な訳じゃないのだろうが、とても嬉しい
くたばりそうになった時は是非とも部長に会いに行きたいです。と口が滑りそうになった。
でも、少しくらい我がままを言ってみても良いよね…?
「もし、くたばりそうになったら、リヴァイ部長に励ましの言葉を頂きたいです」
「俺にか?」
リヴァイ部長は目を丸々として首を傾げた。
まるで「聞き間違いか?」とでも言いたそうな顔だ。
そんな驚くようなことを言っただろうか?
もしかして迷惑で図々しい奴だと思われた?!
「あぁいえ!忘れて下さい。その…彼女がいらっしゃるのに、すみません」
そうだ、何を言っているんだろう。
彼には大切な人が、特別な人がいる。ルアナは個人的に苦手な人間だが、リヴァイ部長が愛してる人間でもある。
好きな人の好きな人を悲しませるような事したら、それこそ彼に嫌われてしまう。それだけは…絶対に嫌だ。
何だか気まずくなり、名残惜しいけどオフィスに戻ろうとした時、リヴァイ部長らしからぬ小さな声でそっと呟いた。
「お前も……彼氏がいるだろ」
「え?」
「アイツは仕事も出来る。大切にしてやれ」
「……はい」
大切に…ね。そうだった、私にも彼氏がいた。
だけど、一番あなたに言われたくない言葉だったわ。
とても胸が苦しい。
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ああ - ハッピーエンドで終われて良かったです!面白かったです (10月7日 22時) (レス) @page50 id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
みゆこ - リヴァイファンにはたまりません!!好きです!! (2022年7月31日 14時) (レス) @page50 id: 88bc64309a (このIDを非表示/違反報告)
美緒ちゃん(プロフ) - 完結ありがとうございました。ハピエンですね。良かったです。次は、甘々シーンを増やしていただけると嬉しい限りです。 (2022年7月18日 21時) (レス) @page50 id: 4f2d722dc2 (このIDを非表示/違反報告)
はてな(?)(プロフ) - 夢梨さん» 夢梨さん、コメントありがとうございます!更新遅くて申し訳ないです…。完結できるよう頑張ります。最後までお付き合いください🙇🏻♀️ (2022年4月19日 18時) (レス) @page47 id: 2bed4e8e7b (このIDを非表示/違反報告)
夢梨(プロフ) - 書き直される前も書き直された後も面白いです!更新のたびに読んでいたら続きが気になりすぎるので、最近は更新話数をためてから一気に読むようにしています笑😅 完結まで頑張って下さい! (2022年3月28日 21時) (レス) @page46 id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はてな(?) | 作成日時:2021年5月30日 22時