第36話 ページ36
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もしかしたら…Aと上手くいったのか?
だとしたら、複雑な感情だ。Aを誰にも渡したくないという思いと、尊敬する部長の幸せを願う気持ちがぶつかり合う。
まぁ、答えは分かってんだけどさ……
どうしたって今、俺は彼女の主人公にはなれない。
「とりあえず、ランチセット」
「は?」
「買ってきてよ。アンタの食べてる姿見たらお腹空いちゃった」
「見て分かりません?俺、今お食事中ですけど」
「おばちゃんにサラダ多めってちゃんと言いなさいよ」
「おい」
しれっとガン無視を決められ、財布を渡される。
てっきり奢れとでも言うのかと思ったが…いや、それ以前にコイツは相変わらず、嫌われやすい性格をしている。
こんな性格だからか、ルアナは社内では「姫」と呼ばれている。秘書課に入ったのも、社長やら専務やらに媚びを売るのが上手い挙句、気に入られてしまったからだ。仕事は完璧らしいが普段が違う意味でダラしない。
わざと深いタメ息を吐いて、俺はさっさと食堂のおばちゃんの元へとランチセットを求めに足を動かすのであった
リヴァイ部長もすげぇよな。
こんな女によく付き合ったもんだわ…
*
昼飯とルアナに解放され、オフィスに戻ると部長はまだ昼休みだと言うのに一人パソコンと睨めっこをしていた。
部下思いすぎて意外と仕事溜めやすい人なんだよなぁ…
それを徹夜でこなして、
部下に悟られないようにしているからすげぇ。
じっと見ていると部長と目が合い、首を傾げられた。
「まだ昼休みですよ、部長」
「あぁ、知ってる」
「ちゃんと食べないと。午後から会議入ってますよね?」
「まぁな」
そう言いながらも手を止めようとはしないし、目も合わない。っていうか、俺…何で部長に話しかけたんだっけ?
もしかしてルアナの事を話そうと思ったのか?
それだとしたら、俺は部長とAの恋を助けることになるんだけど……
「エレン」
「ッ…はい」
「何か用か?」
「え、あぁ…いや、うーん…」
いや、迷っている時点で決まってんじゃん。
深いタメ息と自分に呆れた笑みを浮かべる俺に部長は怪訝そうに様子を見ていた。
「具合でも悪りぃのか?」
「…部長、ちょっと付き合って下さい」
そう部長のタバコを手に取り、見せびらかすと部長はやっと手を止める。しばらく考え込んでは「分かった」と言い立ち上がった
誰も居ない喫煙室に入り、
いつも通り部長が吸う傍で俺はただ立ち尽くす。
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ああ - ハッピーエンドで終われて良かったです!面白かったです (10月7日 22時) (レス) @page50 id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
みゆこ - リヴァイファンにはたまりません!!好きです!! (2022年7月31日 14時) (レス) @page50 id: 88bc64309a (このIDを非表示/違反報告)
美緒ちゃん(プロフ) - 完結ありがとうございました。ハピエンですね。良かったです。次は、甘々シーンを増やしていただけると嬉しい限りです。 (2022年7月18日 21時) (レス) @page50 id: 4f2d722dc2 (このIDを非表示/違反報告)
はてな(?)(プロフ) - 夢梨さん» 夢梨さん、コメントありがとうございます!更新遅くて申し訳ないです…。完結できるよう頑張ります。最後までお付き合いください🙇🏻♀️ (2022年4月19日 18時) (レス) @page47 id: 2bed4e8e7b (このIDを非表示/違反報告)
夢梨(プロフ) - 書き直される前も書き直された後も面白いです!更新のたびに読んでいたら続きが気になりすぎるので、最近は更新話数をためてから一気に読むようにしています笑😅 完結まで頑張って下さい! (2022年3月28日 21時) (レス) @page46 id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はてな(?) | 作成日時:2021年5月30日 22時