[A3!] ねぇ、はやくあきらめて [茅ヶ崎至] (ページ1)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:17,466 hit

＊ページ1

.

もしかしたら、これはあの子(彼女)に対しての些細な意地悪なのかもしれない。
もしかしたら、遠回しなあの子(彼女)に素直になれない俺の意地なのかもしれない。
それとも、単なる自分自身の我が儘なのかもしれない。

答えは俺には、分からない。
最近は、知らなくてもいいんじゃないかとまで思えてきた。

遠回しな言葉でも嬉しい。
だけど。
真っ直ぐな言葉をあの子(彼女)の口から直接聞きたくて。

視線を感じてゲーム機から顔をあげた。
あの子(彼女)の目が俺の目を真っ直ぐに射ぬく。

「どうしたの？」

「________________」

分からないふり。
知らないふり。
不思議そうな顔をして首をかしげて見せた。

少しだけ不満そうに辛そうにあの子(彼女)は眉間にシワをよせた。
俺のことで、俺のことを思ってこそのそんな表情。
だけど、その表情は一瞬だけですぐにいつも通りの笑顔を浮かべる。

俺は、結構ずるいやつなのかも。

小走りに部屋を出ていったあの子(彼女)が淹れてくれたコーヒーを飲み干した。
いつもより少しだけ甘く感じる。

今あの子(彼女)に一言声をかけるなら俺はこうかけると思う。

『はやく諦めて』

.